セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-5:

抗腫瘍療法を前提とした中下部胆道狭窄に対する胆管ステンティング―進行膵癌に対するUMS:Uncovered Metallic Stentの有用性―

演者 原 太郎(千葉県がんセンター内視鏡科)
共同演者 山口 武人(千葉県がんセンター消化器内科), 石原 武(千葉大学大学院腫瘍内科学)
抄録 【背景】進行膵癌の治療成績はGemcitabine,S-1の登場により向上し,有効な治療とともにUMS:Uncovered Metallic Stentの主な閉塞原因であるtumor ingrowthは制御することが可能となりつつある.それに伴いUMSの開存期間は延長し,治療奏功例では良好な開存期間が得られている.さらにUMSはCMS:Covered Metallic Stentと比較して合併症が低率で,閉塞時のre-interventionも容易であるなどの利点を有する.そこで今回,抗腫瘍療法を前提とした進行膵癌に対するUMSの有効性の評価を行った.【目的】非切除進行膵癌におけるUMSの開存期間に影響する因子を明らかにし,UMSの有効性を検討する.【対象と方法】切除不能膵癌と診断されUMSを挿入し抗腫瘍療法を施行した92例において治療奏功度とステント開存期間との相関関係を検討した.【結果】全症例の生存期間中央値:MSTは348日,全症例のステント開存期間中央値は361日.治療奏功度別のMSTはCR,PR;MST:655日,SD:372日PD:223日.治療奏功度別ステント開存期間中央値は,CR,PR:445日,SD:226日,PD:230日と治療奏功例では非奏功例に比べ有意に開存期間の延長が認められた(CR.PR vs SD,PD:p=0.0002).治療別ステント開存期間中央値は放射線治療群369日,化学療法単独群298日:有意差なし.またステント種類別の開存期間中央値はBraided type 433日,Lasercut type 315日とBraided typeで開存期間の延長が認められた(p=0.0428).ステント留置に伴う合併症は胆嚢炎1例,急性膵炎2例と早期,晩期合併症ともに低率であった.【結論】進行膵癌による中下部胆道狭窄に対するステント治療では化学療法の奏功度が開存期間と相関していることが示された.また腫瘍コントロール群では良好な開存期間が得られることから,初回ステントは合併症が低率なUMSを用い閉塞時にCMSを再挿入するという治療戦略も考えられる.
索引用語