セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-6:

非切除中下部悪性胆道閉塞に対するmetallic stentの成績と関与する因子

演者 濱田 毅(東京大学医学部附属病院消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大学医学部附属病院消化器内科), 小池 和彦(東京大学医学部附属病院消化器内科)
抄録 【背景】非切除中下部悪性胆道閉塞に対しては,当科の無作為化比較試験の結果から,uncovered metallic stent(UMS)より開存期間の長いcovered metallic stent(CMS)を第一選択としてきたが,原疾患やMSの特性による成績の違い,合併症の危険因子が明らかになってきた.【対象・方法】中下部悪性胆道閉塞にMSを留置した524例(CMS 80%).男性57%,年齢中央値70歳.膵癌/リンパ節転移/胆管癌,74/12/10%.開存期間・合併症及び影響する因子をretrospectiveに検討.【結果】全症例での検討では,CMSでtumor ingrowthを認めず,閉塞率/開存期間は,27%/405日と,UMSの46%/205日より有意に良好であった(P=0.001/0.003).部位別の検討では,膵癌405 vs. 205日(P=0.003),リンパ節転移226 vs. 114日(P=0.002)とCMSの有用性を認めたが,胆管癌では,288 vs. 523日(P=0.034)とUMSで逆に長い開存期間が得られた.合併症危険因子の検討では,胆嚢炎に関しては,胆嚢管癌浸潤(OR 5.3),axial force(AF)の大きいMS(OR 5.2)が危険因子であり,膵炎に関しては,ESTの予防効果は認められず,主膵管浸潤がないこと(OR 5.5),AFの大きいMS(OR 3.7)が危険因子であった.膵癌症例における十二指腸浸潤は,胆泥・食物残渣による早期閉塞の危険因子であり(OR 2.4),さらに十二指腸MSを留置されると,dysfunctionの危険は有意に高まった(HR 2.0).【結論】閉塞率が低く,開存期間が長いCMSが,中下部悪性胆道閉塞に対する第一選択であるが,胆管癌ではUMSも考慮すべきである.また合併症危険因子として,胆嚢管・主膵管癌浸潤の評価が重要で,AFの大きいMSは胆嚢炎・膵炎の危険因子であった.十二指腸浸潤例では,逆流防止弁付きMSあるいはEUS下drainageなども検討すべきである.
索引用語