セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-7:

膵胆道癌による十二指腸狭窄に対する内視鏡的ステント留置術の治療成績―胆道閉塞合併例に対する胆道ドレナージ法の検討を含めて

演者 菅野 良秀(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科)
共同演者 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科), 伊藤 啓(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科)
抄録 【背景と目的】膵胆道癌はしばしば十二指腸閉塞をきたし,姑息的治療法として内視鏡的ステント留置術(DS)がある.近年利用可能となったthrough-the-scopeで留置可能な金属ステントを使用したDSの治療成績を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】対象は,膵胆道癌による十二指腸閉塞に対しDSを施行した25症例(男女比16:9,平均年齢72±10歳).検討項目は,手技成功率,手技関連偶発症,治療効果,経口栄養可能期間,胆道閉塞合併例における胆道ドレナージ(BD)法とその治療成績,生存期間とした.DSの治療効果について,柔らかな固形物が摂取できることを経口栄養可能と定義し,経口栄養可能となった症例を良好と定義した.BDは,経乳頭的ドレナージ(EBS)を原則とし,困難な症例に対してEUS下ドレナージ(ESBD),経皮経肝ドレナージ(PTBD)を施行した.BDの治療効果は総ビリルビン値が治療前の1/2未満に減少するか正常化した症例を良好例とした.【結果】原疾患は,膵癌17例,胆道癌8例であった.手技成功率は100%で,偶発症として軽症膵炎を1例に認めた.治療効果は80%(20/25)で良好で,良好とならなかった5例も,全例悪心嘔吐が改善し経鼻胃管留置が不要となった.経口栄養可能期間は中央値75日(95%CI,59-264)であった.胆道閉塞は22例に合併し,BD法は,EBS16例,ESBD7例,PTBD2例であった.十二指腸閉塞と胆道閉塞を同時期にきたした9例中5例では,BD法としてESBDを選択していた.BDの治療効果は96%(24/25)で良好であった.DS施行後の生存期間中央値は55日(95%CI,14-96)であった.【結語】膵胆道癌による十二指腸狭窄に対する内視鏡的ステント留置術は安全に施行可能で,多くの症例で経口摂取を再開できた.胆道閉塞合併例に対する胆道ドレナージは,ESBDを取り入れることにより多くの症例で内視鏡的に治療可能であった.
索引用語