セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-12:

簡易病理学的評価法を用いた内視鏡医によるrapid on-site evaluationの導入―EUS-FNAによる膵癌診断能を向上させる取り組み―

演者 林 毅(札幌医科大学第4内科)
共同演者 石渡 裕俊(札幌医科大学第4内科), 加藤 淳二(札幌医科大学第4内科)
抄録 【背景】EUS-FNAは膵癌診断のため不可欠な検査法である.精度向上のためにrapid on-site evaluation(ROSE)は重要な役割を果たすが,多くの施設で病理医/細胞検査士による施行が困難な状況にある.【目的】内視鏡医によるROSEの導入がEUS-FNAの膵癌診断に及ぼす効果を検討する.【方法】dynamic CTで膵に低吸収域のありEUS-FNAが施行された142例を対象とし,病理学的および臨床経過の評価が十分に可能であった導入前群53例(06年1月-09年8月):22G針で肉眼的に白色検体が得られるまで穿刺(5回を限度)と,導入後群85例(09年9月-11年4月):白色検体の一部でDiff-Quik染色によるROSEを施行し臨床情報を加味した上で適正検体を得るまで穿刺(5回を限度)の適正検体採取率,正診率,穿刺回数を比較した.内視鏡医によるROSE導入に先立ちDiff-Quikと同系のMay-Giemsa染色スメアを用いて病理医指導のもと(ア)核の腫大,(イ)核の大小不同,(ウ)細胞の重なり,(エ)核縁不整の4項目のみからなる膵病変の細胞異型度診断を習得した.全例で細胞(papanicolaouおよびMay-Giemsa)+組織(H&E)診を行い,総合的な病理学的評価を(1)正常膵,(2)炎症性変化,(3)異型,(4)膵管癌疑い,(5)膵管癌,(6)その他の腫瘍,(7)非適正献体に分類した.各症例の最終診断は,切除病理もしくは1年以上の経過観察による臨床情報で,(a)非腫瘍性病変,(b)膵管癌,(c)その他の腫瘍に分類した.(a)は(1)(2),(b)は(5),(c)は(6)であった場合のみを正診とし,(3)(4)(7)は誤診とした.【結果】適正検体採取率は導入前後で81.1から91.8%(P=0.004)で有意に上昇した.正診率は69.8から91.8%(P<0.001),穿刺回数は有意に減少した(P=0.03).【結論】病理医/細胞検査士の不在によりROSEが施行困難な施設において,内視鏡医によるROSE導入はEUS-FNAによる膵癌診断能を向上させる一つの方法である.
索引用語