セッション情報 シンポジウム9

非切除胆膵癌に対する内視鏡的interventionの進歩

タイトル S9-13:

切除不能胆嚢癌に対する最適な内視鏡的エビデンス取得方法の検討

演者 肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
共同演者 原 和生(愛知県がんセンター中央病院消化器内科), 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
抄録 【目的】切除不能胆嚢癌に対するERC下生検とEUS-FNAによる診断能を比較検討した.【対象】2001年3月~2012年8月までに当院にて切除不能胆嚢癌と診断した126例のうち,画像診断例とERC/EUS-FNA以外で診断した症例27例を除いた89例.ERC下生検のみ33例,EUS-FNAのみ30例,ERC下生検後にEUS-FNA施行は26例であった.【検討項目】1.胆嚢癌に対する経乳頭的生検(組織診・細胞診)の診断能 2.胆嚢癌に対するEUS-FNAによる診断能 3.ERC下生検で癌陰性例でのEUS-FNAの診断能 4.ERC下生検とEUS-FNAとの診断能の比較【成績】1.59例(66.2%)にEBDを施行した.このうち,28例(47.4%)が癌陽性であった.胆汁細胞診のみ施行した症例は30例(50.8%)であり,さらにブラシ細胞診,組織診も併用した症例は29例(49.2%)であった.胆汁細胞診のみの感度は43.3%,ブラシ細胞診,組織診も併用した群での感度は51.7%であった.2群間に有意差は認めなかった(P=0.31).4例(6.7%)にERCP後膵炎を発症した.2.56例(62.9%)にEUS-FNAを施行した.80.3%(n=45)にLN腫大が認められそこからのEUS-FNAで95.5%(43/45)に癌が検出された.LN腫大のない10例,LNからのEUS-FNAで癌陰性2例の計12例に対して,胆嚢腫瘤自体(10例)もしくは肝転移巣(2例)から穿刺を行った.癌検出率は胆嚢からは90%,肝転移からの癌検出率は100%であった.EUS-FNA全体の癌診断率は,96.4%(54/56)で,合併症は認めなかった.組織型は52例(92.8%)は腺癌,2例(3.7%)は小細胞癌であり,組織型に応じた化学療法が施行できた.3.ERCにて癌陰性であった症例のうち19例(19/31)に対してEUS-FNAを施行し全例に癌が証明された.4.ERCとEUS-FNAの感度はそれぞれ,47.4%と96.4%であり有意(P=0.001)にEUS-FNAの感度が高かった.【結論】切除不能胆嚢癌に対する組織採取の方法は,EBDを要する場合は経乳頭的アプローチを優先するが,EBD不要の場合やERC下生検が癌陰性の場合には安全かつ診断能の高いEUS-FNAを行う方法が推奨される.
索引用語