セッション情報 シンポジウム10

胆膵癌の化学療法の最前線

タイトル S10-1:

進行胆道癌に対する初回化学療法の実態調査とGemcitabine+Cisplatin+S-1(GPS)併用療法の試み

演者 森脇 俊和(筑波大学消化器内科学)
共同演者 兵頭 一之介(筑波大学消化器内科学), 石田 博保(水戸医療センター消化器科)
抄録 現在,進行胆道癌に対する化学療法はgemcitabine(GEM)を中心として単剤あるいは併用療法が行われている.我々は実地臨床を調査し,さらに有効なレジメンを開発するためGEM+cisplatin+S-1(GPS)併用療法のPhase Iを開始した.茨城県内5施設で,08年1月~10年12月までに初回化学療法を開始した進行・再発胆道癌の原発部位,初回化学療法の内容,二次化学療法の有無,無増悪生存期間(PFS)および生存期間(OS)などを調査した.74例が集積,原発部位は,肝外胆管癌43%,肝内胆管癌28%,胆嚢癌28%,初回化学療法は,GEM単独58%,S-1単独19%,GEM+cisplatin 18%,GEM+S-1 5%であった.全例のPFS中央値は3.5ヵ月(95%CI=2.7-4.3),OS中央値は9.4ヵ月(95%CI=6.6-12.2),二次化学療法移行率は56%であった.未だ十分な成績は得られておらず,GPS併用療法を開発する意義はあると判断した.投与量・スケジュールはGEM(Level 1:1000mg/m2,Level 2:1200mg/m2)およびcisplatin(30mg/m2)を第1日目に,S-1(80mg/m2)を1週間連続投与1週間休薬の2週毎,第3サイクル開始までの用量制限毒性(DLT)の発現を指標とし推奨用量を決定することとした.現在までにLevel 1に9例が登録,DLTは2例に認めている(1例:悪心grade 3,1例:血小板減少grade 2による開始遅延)が,減量でいずれも継続出来ている.評価途中であるが,7例中3例にPR,4例にSDが得られている.【結論】GPS併用療法の開発は意義があり,有効性の高い治療法となり得る可能性が示唆された.
索引用語