セッション情報 シンポジウム10

胆膵癌の化学療法の最前線

タイトル S10-3:

進行胆道癌に対する術後補助化学療法例の成績

演者 味木 徹夫(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 岡崎 太郎(神戸大学肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 【目的】進行・再発胆道癌に対する有効な化学療法としてgemcitabine(GEM),S-1,GEM+CDDPが普及したが,術後補助投与の有用性は未だ不明確である.我々はこれまでに胆道癌に対しGEM術後補助投与を行ってきたが,今回その成績を再検討した.またGEM術後補助投与の効果予測におけるGEM代謝酵素発現の有用性の検討を併せて行った.【方法】2002-2011年にGEM術後補助投与を施行した44例(M/F=29/15,平均64歳)を対象とした.このうち,膵癌合併の1例と臨床試験としてGEM+CDDP投与を行った3例を除いた40例の背景,再発について検討を行った.GEM投与はリンパ節転移や膵浸潤など再発危険因子を持ち,かつ術後補助投与を希望する症例に施行し,投与は術後10週以内に開始,GEM 1000mg/m2,3投1休で18回(6コース)投与を基本とした.GEMの代謝酵素発現は,RRM1,hENT1,CDAのタンパク発現を切除材料から免疫組織学的に検討した.【成績】癌の部位は肝内胆管6,肝外胆管24,胆嚢10,stageは2/3/4a/4b=10/16/8/6であった.手術は膵頭十二指腸切除11例,各種肝切除26例,その他2例で,R0が37例,R1が3例であった.GEMは18例がコース変更または減量が必要で,18回投与完遂は33例,7例が18回以内に脱落した(再発5例,継続拒否2例).再発例は22例(55%)で,肝内胆管3,肝外胆管12,胆嚢7と胆嚢癌で高率で,この7例中3例が早期再発例で18回投与未満で再発していた.再発までの期間は3-47カ月で,再発部位は肝/リンパ節/腹膜/局所/肺=10/5/4/2/1と肝再発が最多であった.全体の1生率92%,3生率53%で,GEM18回未満例は最長生存25カ月と予後不良であった.部位別では胆管癌が最も予後良好であった.GEM代謝酵素発現の検討では,hENT1高発現例が予後良好であった.【結論】GEMによる術後補助投与は進行胆道癌の再発率を大きくは改善しておらず,胆嚢癌,肝再発が課題である.また,hENT1はGEM術後補助投与の指標として有用と思われた.
索引用語