セッション情報 |
シンポジウム10
胆膵癌の化学療法の最前線
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タイトル |
S10-4:進行胆道癌に対する術前加療の意義とその問題点
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演者 |
田端 正己(三重大学肝胆膵・移植外科) |
共同演者 |
臼井 正信(三重大学肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大学肝胆膵・移植外科) |
抄録 |
教室では治療成績不良な局所進行あるいはリンパ節転移陽性胆道癌に対し,2007年から術前放射線化学療法(NCRT)を,2009年からは術前化学療法(NAC)を導入した.今回はその治療成績を解析し,進行胆道癌に対する術前加療の意義と問題点について検討した.【対象と方法】術前加療後に切除した進行胆道癌25例(肝門部胆管癌13例,肝内胆管癌10例,胆嚢癌,下部胆管癌各1例).25例の術式は肝切除22例(右三区域2例,左三区域3例,右葉7例,左葉10例),肝門部胆管切除2例,PD 1例で,門脈合切再建を12例,動脈合切再建を3例に併施した.これら25例を術前加療法別に,1)45Gy NCRT:45Gyの体外照射(1.8Gy×25Fr)+GEM800mg/m2の隔週投与3回,2)36Gy NCRT:36Gyの体外照射(1.8Gy×20Fr)+GEM800mg/m2の隔週投与3回,3)GEM+S1(GS):S1 80mg/日(第1-21日投与)+GEM 1000mg/m2(第8,22日投与)の4週1コースの3群に大別し,その治療成績を対比検討した.3群間の術式に大差はなかった.【結果】1)45Gy NCRT(5例):全例治癒切除で,2例では腫瘍の完全壊死が得られた.しかし3例では術後黄疸が遷延し,これに起因して1例が6ヶ月で死亡した.1例は11ヶ月で再発死(腹膜播種)したが,残りの3例は27~64ヶ月生存中(あるいは他病死)である.2)36Gy NCRT(7例):治癒は5例であった.術後肝障害発生は無かったが,1例は腹腔内感染にて在院死した.残りの6例中4例は術後15~26ヶ月再発死し(局所+肝転移2例,局所,肝転移各1例),他の2例は24,26ヶ月生存中である.3)GS(13例):平均2.0コース/例施行した.治癒は10例であった.1例が重症肺炎にて在院死し,非治癒の1例が再発死した.残りの11例は2~40ヶ月生存中である.【まとめ】術前照射のうち,45Gy照射は抗腫瘍効果に優れるが残肝障害が危惧され,36Gy照射では残肝障害は認められないが,局所コントロール効果に乏しい.現時点ではGSによるNACを第一選択とし,これに術後補助化学療法を加えて治療成績の向上を図っている. |
索引用語 |
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