セッション情報 |
シンポジウム10
胆膵癌の化学療法の最前線
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タイトル |
S10-9:局所進行膵癌に対する化学放射線療法および化学療法を中心とした治療戦略
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演者 |
須藤 研太郎(千葉県がんセンター消化器内科) |
共同演者 |
山口 武人(千葉県がんセンター消化器内科), 石原 武(千葉大学腫瘍内科学) |
抄録 |
【目的】近年,化学療法および放射線治療の進歩により,切除不能局所進行膵癌の治療成績は改善しており,生存期間中央値(MST)15ヶ月を越える臨床試験も複数報告される.また,化学療法や化学放射線療法(CRT)が奏効し,根治切除可能となった症例も報告され,conversion therapyとしての役割にも期待される.一方,局所進行膵癌に対する治療はエビデンスの乏しい領域であり,標準的治療は定まっておらず,CRTの意義についても確立されていない.本検討では局所進行膵癌に対するCRT(S-1+RTほか)および全身化学療法(GEMまたはGEM+S-1療法)の治療成績,および奏効後に外科切除を行った症例を供覧し,今後の課題について考察を行う.【方法】当グループにて治療を行った局所進行膵癌170例を対象として長期成績につき検討を行った.【成績】CRTを90例(S-1+RT62例,CDDP±5-FU 28例),全身化学療法を80例(GEM 44例,GEM+S-1療法36例)に施行した.背景因子が異なるため正確な比較は困難だが,CRT群のMST 15.6ヶ月,化学療法群13.1ヶ月(p=0.4935)と両群に有意差はみられなかった.一方,長期生存例はCRT施行例に多い傾向があり,10年の無増悪生存例も認められ,5年生存率7.5%であった.治療法別の検討ではS-1+RT 16.7ヶ月,GEM+S-1 14.6ヶ月,GEM 11.7ヶ月,CDDP±5-FU+RT 11.2ヶ月であった.外科切除は9例に行われ,6例に根治切除を施行し得た.【結論】背景因子が異なるため比較は困難だが,局所進行膵癌に対するS-1+RTおよびGEM+S-1療法において良好な治療成績が認められた.CRTの化学療法に対する優位性は示されなかったが,CRT例において長期生存例の多い傾向にあった.さらなる治療成績の向上のためには奏効例に対する外科切除の役割に期待されるが,適応やタイミングなど多数例での検討が必要である. |
索引用語 |
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