セッション情報 シンポジウム10

胆膵癌の化学療法の最前線

タイトル S10-11:

膵癌切除後補助化学療法における塩酸ゲムシタビン療法とS-1療法の第III相比較試験(JASPAC 01):2013年ASCO-GIの発表から

演者 小西 大(国立がん研究センター東病院上腹部外科)
共同演者 福富 晃(静岡県立静岡がんセンター消化器内科), 上坂 克彦(静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科)
抄録 【背景・目的】2007年にCONKO-001の結果が発表されて以来,膵癌術後補助療法の標準治療は塩酸ゲムシタビン(GEM)であった.膵癌補助化学療法研究グループ(JASPAC)では,GEM療法とS-1療法の第III相比較試験を行い,その中間解析結果を2013年ASCO-GIで発表するので,その詳細を本学会で報告する.【プロトコールの概略】1)目的:膵癌切除後補助化学療法として,GEM療法に対するS-1療法の生存期間における非劣性を検証する.2)評価項目:主要評価項目は生存期間,副次評価項目は有害事象発生割合,無再発生存期間,健康関連QOL.3)対象:浸潤性膵管癌切除例でUICC stage II以下または腹腔動脈合併切除施行のstage IIIで,R0かR1.4)プロトコール治療 A群)GEM療法:GEM 1000mg/m2,週1回3週連続投与し4週目は休薬,6ヶ月間.B群)S-1療法:80mg/m2/日のS-1を1日2回内服.28日間連続投与し14日間休薬,これを4コース.4)予定登録数:360例.登録期間:3年,追跡期間:登録終了後2年.180イベント(死亡)が観測された時点で全生存期間を対象とした有効性の中間解析を行う.【結果】2007年4月から2010年6月までに385例が登録された.2012年7月時点のデータで中間解析を施行,その結果,効果・安全性評価委員会から「中間解析結果を早期に公表すること」とする勧告がなされた.本勧告は,中間解析において事前にプロトコール上で取り決められた以下の条件を満たすことが確認されたためなされた:予め規定している統計学的条件にて検討を行った結果,すでにS-1群の非劣性が十分検証できた場合,すなわちS-1群のGEM群に対するハザード比が0.79以下である場合.結果の詳細は2013年ASCO-GIで公表し,国内では,本学会で初めてその内容を報告する予定である.
索引用語