セッション情報 |
シンポジウム11
消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略
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タイトル |
S11-1:EUS-FNAと造影CTによる病理組織分類に基づいた膵神経内分泌腫瘍に対する治療戦略
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演者 |
堀口 繁(岡山大学病院消化器肝臓内科) |
共同演者 |
加藤 博也(岡山大学病院消化器肝臓内科), 山本 和秀(岡山大学病院消化器肝臓内科) |
抄録 |
【目的】膵神経内分泌腫瘍は手術可能例では予後良好であるが,根治手術不能例では予後不良である.切除不能例は治療法の選択において病理組織分類(Grading)が極めて重要であるが,Gradeの診断が困難な場合も少なくない.EUS-FNAと造影CTがGrade予測に有用であると考えられたため報告する.【方法】対象は当院で2004年4月から2012年8月までに診断治療を行った膵内分泌腫瘍のうち,EUS-FNA施行22例と造影CT施行28例.病理組織はWHO2010に準じて再評価した.造影CTは同一のdynamicプロトコールで行い動脈相にて評価を行った.造影効果の指標として病変充実部のCT値を周囲正常膵のCT値で除した値(CT値比)を用いた.FNAとCTの診断能,両検査施行群のGrade診断能を検討した.【成績】EUS-FNA施行例(G1 11例,G2 7例,G3 4例)のうち19例(86%)が神経内分泌腫瘍と診断された.19例の内訳はG1 10例(91%)G2 5例(71%)G3 4例(100%)といずれのGradeでも診断能は高かった.更にFNA検体でGradeまで評価できたものは7例(37%)でありG1 3例(30%),G2 1例(20%),G3 3例(75%)とG1,G2ではG3に比べて診断率が低い傾向にあった(p=0.075).腫瘍診断,Gradingの可否において腫瘍の大きさや穿刺回数には明らかな傾向は認められなかった.造影CT(G1 16例,G2 7例,G3 5例)において神経内分泌腫瘍を積極的に疑ったものは14例(50%)とCT単独での診断能は低かったがCT値比とGradeの関係では低分化でCT値比が有意に低下した(G1G2vsG3 p=0.003).EUS-FNAで神経内分泌腫瘍と診断され造影CTを施行した16例でCT値比のcut off値を0.75とするとGrade予測は感度100%,特異度85%,正診率88%であった(p=0.0044).【結論】神経内分泌腫瘍の診断はEUS-FNAが有用であるが単独ではGrade診断能が低い.CTは神経内分泌腫瘍の診断能は低いが,CT値比はGradeとの有意な相関関係が認められた.EUS-FNAで神経内分泌腫瘍と診断し更にCT値比を用いるとGradeを高い正診率で予測でき治療戦略上極めて有用であることが考えられた. |
索引用語 |
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