セッション情報 シンポジウム11

消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略

タイトル S11-2:

非切除例および根治的切除例における悪性度評価と臨床経過の検討

演者 長谷川 俊之(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
共同演者 肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部), 清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院消化器外科部)
抄録 【背景と目的】PNETの組織学的診断法としてEUS-FNAが用いられており,多くは確定診断の後に治療法が決定される.また最近では病期,患者の意向等により診断後に切除術,化学療法や経過観察など治療法も様々である.また,根治的切除後に再発し化学療法を行う症例もある.これらの症例におけるKi67 indexによる悪性度評価と臨床経過について検討した.【対象と検討項目】対象は1998年から2011年までにEUS-FNAもしくは手術にてPNETと診断された60例.内訳は男女比28:32例,平均年齢は54歳(23-81歳),G1/G2/NEC=27/25/3,検体不足で評価不可5例.検討項目は1)EUS-FNAによりPNETと診断された51症例のうち,原発巣非切除15例のFNA検体を用いた悪性度評価と臨床経過の検討.2)根治的切除がなされた35例(G1/G2/NEC=21/13/1)のうち,再発した7例と非再発28例の悪性度評価と臨床経過の比較.【結果】1)原発巣非切除15例中11例が診断時に遠隔転移あり.EUS-FNAによる悪性度評価はG1/G2/NEC/評価不可=5/6/1/3であった.オクトレオチドおよび化学療法をしたが,G2の3例,NECの1例が死亡した.2)再発した7例の中で,残膵再発したMEN1型2例を除く5例ではG2が4例,NECが1例であり,5例のKi67 indexは平均値10.4%であった.一方,非再発28例のKi67 indexの平均は1.8%であり,有意に再発症例においてKi67 indexは高かった(p=0.003).また,ROC曲線下面積は0.89であり,Ki67 index 3.4%をcut offとすると再発のリスクは感度80%,特異度77%であった.【結論】非切除症例におけるEUS-FNAを用いたKi67 indexによる悪性度評価は予後を反映しており治療法選択の決定に有用である.また,切除検体におけるKi67 indexによる悪性度評価は再発のリスクをよく反映しており,Ki67 indexが3.4%より高い症例は術後追加化学療法を考慮する必要がある.
索引用語