抄録 |
【目的】十二指腸・膵神経内分泌腫瘍(NET)の治療の基本は外科的切除となるが,切除不能例や再発例に対する治療や切除例における補助療法には標準治療がないのが現状である.そこで,十二指腸NET及び膵NET(pNET)に対する治療戦略についてretrospectiveに検討した.【対象】2000-2011年の十二指腸NET及びpNET治療例79例を対象とした.非機能性45例,機能性34例(インスリノーマ24,ガストリノーマ9,グルカゴノーマ1)で,MEN-1型は4例(非機能性1,ガストリノーマ2,インスリノーマ1),von Hippel Lindau病(VHL)は非機能性の4例であった.【結果】G1,G2は非機能性で78%,22%,インスリノーマで96%,4%,ガストリノーマで67%,33%,リンパ節転移,肝転移は非機能性で22%,9%,インスリノーマで4%,4%,ガストリノーマで55%,11%で,非機能性,ガストリノーマでG2,転移の多い傾向があった.切除率は99%で,腫瘍核出術17例,膵切除43例,膵頭十二指腸切除17例,十二指腸切除2例で,肝切除5例(同時性3,異時性2)であった.転移例中,14例にオクトレオチドが,2例に肝動注が,非切除の1例と広範リンパ節再発の1例にエベロリムスが投与された.非機能性及び十二指腸ガストリノーマの各1例が術後3.7年,1.6年で原病死した他は生存中で再発7例(肝5,リンパ節2)であった.【結論】十二指腸NET及びpNETでは積極的外科切除により長期予後をめざし,転移・再発例にはオクトレオチドやエベロリムスを用いた病勢コントロールを行うべきと考えられた. |