セッション情報 |
シンポジウム11
消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略
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タイトル |
S11-6:当院における膵神経内分泌腫瘍手術例の予後について
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演者 |
水上 敦喜(富山県立中央病院内科(消化器)) |
共同演者 |
松田 耕一郎(富山県立中央病院内科(消化器)), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科(消化器)) |
抄録 |
【目的】当院における膵神経内分泌腫瘍(PNET)手術例の予後について,2010年WHOのgradingやENETSのTNM分類等と対比しつつ検討し,肝転移例に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)の効果についても併せて検討した.【方法】過去36年間で外科的切除標本にてPNETと確定診断された30例を対象とし,年齢は平均58歳(17~79歳),男女比は8対7.これら30例において,gradingやTNM分類など各種臨床病理学的因子と予後との関連を検討した.肝転移に対するTACEが施行されていた例はG2の5例で,TACE施行回数は平均4.2回(1~6回)だった.【結果】grading別には,G1が16例,G2が11例,G3(NEC)が3例で,TNM分類別には,1期12例,2a期5例,2b期2例,3b期6例,4期5例だった.gradingとTNM分類の関連性については,G1は1期11例,2a期4例,2b期1例で,G2は1期1例,2a期1例,2b期1例,3b期4例,4期4例,NECは3b期2例,4期1例だった.術後の局所再発や肝転移を含めた遠隔転移を認めた症例は,G1は2b期の1例で6%,G2は2b期の1例,3b期の1例,4期の4例の計6例で55%,NECでは全例の100%だった.予後は,G1の原病死は術後10年目に死亡した2b期のソマトスタチノーマの1例のみだった.G2の原病死は3b期の1例と4期の4例の計5例で,これら5例の術後の生存期間中央値は940日だった.NECは2例がそれぞれ術後403日と947日で死亡しており,生存している1例も術後11ヶ月になるが終末期である.年齢,性差なども加えた各種臨床病理学的因子と予後との関連性については,腫瘍径20mm以上,脈管浸潤有り,G2以上,2b期以上,術前遠隔転移有りが予後不良因子だった(p<0.05).肝転移に対しTACE施行された5例では,さらに約2年間の生存が得られていた.【結語】PNET術後の予後は,G1はTNM分類の病期が進行していることが少なく良好で,G2は病期が進行している例も多く不良だったが,肝転移に対してはTACE施行によりその後約2年間の延命が得られていた.また,低分化型のNECは病期も進行しており予後は最も不良だった. |
索引用語 |
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