セッション情報 シンポジウム11

消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略

タイトル S11-7:

肝転移およびリンパ節転移を有するpNET治療例の検討

演者 青木 豪(東北大学病院肝胆膵外科)
共同演者 大塚 英郎(東北大学病院肝胆膵外科), 海野 倫明(東北大学大学院消化器外科)
抄録 【目的】当科で経験した膵神経内分泌腫瘍(pNET)症例において,同時性または異時性肝転移症例,リンパ節(LN)転移陽性症例に対する治療法および予後を検討する.【方法】2000年2月から2012年3月の13年間,当科にて経験したpNET症例80例を対象とした.肝転移例とLN転移例に分け,各症例の治療経過や,5年生存率(Kaplan-Meier法)を検討した.【結果】肝転移症例は13例(同時性5例).LN転移症例は14例.重複症例が3例含まれている.肝転移症例の初回手術における2000年WHO分類ではLow grade malignancy:3例,High grade malignancy:6例,2010年分類ではNECのみ(3例)であった.治療法は肝部分切除が最多であり,その他肝亜区域切除やラジオ波焼灼療法が選択された.LN転移症例では2000年WHO分類でLow grade malignancy:5例,High grade malignancy:3例,2010年分類でNET-G2:4例,NEC:2例であった.最大腫瘍径の平均は33mm.ガストリノーマが2例でその他は非機能性NETであった.施行された術式は,膵頭十二指腸切除(PD):膵体尾部切除(DP):膵全摘(TP):その他=7:2:1:4例であり腹腔鏡手術はなかった.全死亡例は7例(8.8%)で,肝転移3例(23%),LN転移2例(14%)に死亡例を認めた.全体の5年生存率は96%,肝転移症例は82%,LN転移症例は100%と差を認めなかった.【結論】当科で経験したpNET症例を,肝転移およびLN転移に分けて検討した結果を提示する.また再発症例や非切除症例に対しては,現在ソマトスタチンアナログ製剤を中心として,S-1,エベロリムスなどを用いている.エベロリムス投与例2例につき症例を提示したい.
索引用語