セッション情報 シンポジウム11

消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略

タイトル S11-8:

膵・消化管NET遠隔転移に対する治療成績

演者 青木 琢(東京大学肝胆膵外科)
共同演者 長谷川 潔(東京大学肝胆膵外科), 國土 典宏(東京大学肝胆膵外科)
抄録 【目的】膵・消化管NETは進行が比較的緩徐であると考えられているが,肝転移を中心とする遠隔転移を伴う例では予後良好とは言えず,肝転移症例の5年生存率は20-30%との報告もある.当科では積極的な転移巣切除を試み,切除不能となった症例にはStreptozocin(STZ)を中心とした化学療法を行ってきた.その成績を検討した.【方法】1994年以降の膵・消化管NET症例117例を後ろ向きに検討,特に同時性遠隔転移陽性例,異時性再発例を抽出し,行われた治療とその成績を検討した.【結果】117例中,遠隔転移陽性例は62例で,同時性転移38例,異時性再発24例であった.同時性転移に対する治療は,完全切除14例,減量手術12例,化学療法12例であり,異時性転移に対する治療は,腫瘍完全切除9例,減量手術5例,化学療法10例であった.同時性転移完全切除14例中再発を10例に認め,再切除例は1例のみであった.一方,異時性転移完全切除9例のうち5例が再々発したが4例に計10回の再切除が行われていた.切除不能例はSTZに移行,最近はSTZ無効例にEverolimusが投与されていた.転移巣治療後の5年生存率は同時性65%,異時性80%と比較的良好であり,初回治療が完全切除であった群の予後が最も良好であった.減量手術の効果は,90%以上切除できた場合に認められ,それ以下の場合は非切除と同等であった.STZのdisease control rateは50%,STZ導入後のprogression free survivalの中央値は22ヶ月,40%の症例が導入後5年間生存していた.Everolimus投与例は現在まで12例であった.【結論】NET遠隔転移例は,完全切除が得られても高率に再発することが問題であり,異時性肝転移の一部症例を除き,多くの症例で化学療法が必須となる.STZはfirst lineとして有効で,長期にSDを保つ症例も存在する.最近国内承認された分子標的薬の使用経験はまだ少ないが,従来治療との併用などにより切除不能症例のさらなる予後延長を目指すべきと考える.
索引用語