セッション情報 シンポジウム11

消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略

タイトル S11-9:

膵・消化管神経内分泌腫瘍の治療経験

演者 河本 泉(関西電力病院外科)
共同演者 細田 洋平(関西電力病院外科), 今村 正之(関西電力病院外科)
抄録 【背景・目的】膵・消化管内分泌腫瘍(NET)は悪性腫瘍であり,転移を高率にきたす.特に肝転移は重要な予後因子である.我々は1982年から2012年までの間に膵・消化管NET131患者の治療を行い,37例に肝転移を伴っていた.肝転移巣の治療に手術,化学療法,RFA,ソマトスタチンアナログ(SA)などを用いた集学的治療法を行っている.また,最近になり分子標的薬のエベロリムスとスーテントの使用が可能となった.肝転移を伴う膵・消化管NETの集学的治療の工夫について述べる.【対象・方法】2001年にストレプトゾシン(STZ)を膵・消化管NET肝転移の治療に導入した.それ以降,肝転移および腹膜播種を伴う30例の治療を行った.内訳はガストリノーマ10例,ソマトスタチノーマ1例,非機能性18例,カルチノイド症状を伴う胃NET1例で,平均年齢52.5±12歳,男性14例,女性16例,MEN1が5例,vHL1例であった.肝転移巣の広がり,ホルモン症状の有無,病理診断に応じて手術療法,肝局所療法(RFA/TACE),SA製剤,全身化学療法を組み合わせて治療した.【結果】治療法および患者数は肝切除12例,肝局所療法4例,SA15例,STZ19例,エベロリムス6例,スニチニブ2例,PRRT1例,その他1例であった.肝切除患者のうち,3患者で再発を認めていない.13例が腫瘍の増悪で死亡,17例が生存である.16例が加療中であり,CR4例,PR1例,SD9例,PD2例であった.CRのうち3例が肝切除のみで再発を認めていない.SD以上の効果が得られた14例のうち8例で複数の全身療法を組み合わせて治療している.エベロリムスを投与した6例のうち2例がPDであったが,4例がSDであった.SDのうち1例が副作用でスニチニブに変更した.【考察】分子標的薬が膵NETに保険適用となり患者の病態に応じた治療法の選択肢が広がった.病理組織診断,肝転移巣の広がりを考慮し,手術・局所療法・化学療法などを組み合わせた集学的な治療を行うことで予後の改善が期待される.
索引用語