セッション情報 シンポジウム11

消化管・膵神経内分泌腫瘍の新たな治療戦略

タイトル S11-11[追加]:

everolimusによる治療を行った膵神経内分泌腫瘍4症例

演者 小林 賢惣(広島大学病院消化器・代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学病院消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院消化器・代謝内科)
抄録 【背景】膵神経内分泌腫瘍(PNET)は時に肝転移をきたした状態で診断されることもあり,治療に難渋するが最近になり分子標的治療薬であるeverolimusの有効性が報告され保険適応となった.当院においてもPNETの多発肝転移例に対しeverolimus使用例を経験したので報告する.【症例1】膵頭部癌の診断にて外科的治療施行され,病理診断ではduct-islet cell carcinomaと診断された.術後GEM/S1(GS)療法の補助療法施行されていたが,術後22カ月に多発肝転移出現し肝転移巣は徐々に増大した.肝腫瘍生検にて転移巣はNETと診断されeverolimusの投与を開始しその後肝転移巣に増悪傾向を認めていない.【症例2】他院にて卵巣癌に対し手術施行され,術後20カ月に多発肝腫瘍を指摘された.その後補助療法を施行されていたが,術後52カ月に膵尾部腫瘍を指摘され当院にて膵体尾部切除術施行された.病理診断はislet-acinar cell carcinomaであった.その後も多発肝腫瘍に対し肝動脈化学塞栓療法を繰り返し施行されていたが肝転移,腹腔内リンパ節腫大共に緩徐に増大していった.卵巣癌術後74カ月に肝腫瘍に対し経皮生検施行しNET(G2)の診断であったため,everolimusの投与を開始した.その後肝転移巣,腹腔内リンパ節腫大の縮小傾向を認め経過は良好である.【症例3】健康診断にて多発肝腫瘤を指摘され精査・加療目的にて入院となった.精査の結果,膵尾部のPNET,多発肝転移(G2)と診断されCPT11/CDDP療法を開始した.3クール投与後,肝転移巣の増大傾向を認めたためeverolimusによる治療へ変更し,その後肝転移巣の縮小傾向を認めた.【症例4】顔面浮腫にて近医受診し,多発肝腫瘤を認めたため精査・加療目的にて当院入院となった.膵鈎部に腫瘍を認め,膵腫瘍生検ではadenosquamous carcinoma,肝腫瘤の生検ではNET(G3)であった.肝腎機能の急激な悪化を認め治療適応が難しい状況であったが,本人の強い希望によりeverolimusの投与を行うも全身状態悪化し永眠された.【結果】NET(G2)の多発肝転移例に対するeverolimusの抗腫瘍効果は良好と考えられた.
索引用語