セッション情報 シンポジウム12

GIST研究の進歩と臨床への展開

タイトル S12-6:

2cm未満の胃GISTに対する治療方針の検討

演者 品川 秋秀(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
共同演者 原 和生(愛知県がんセンター中央病院消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
抄録 背景と目的:最近ではEUS-FNAの台頭により2cm未満の小さい胃GISTの診断が可能になっている.GIST診療ガイドラインではGISTと診断された場合は,外科切除が基本とされているが様々な理由で経過観察となる症例も少なくない.そこで今回は,2cm未満の胃GISTに対する適切な治療方針を確立することを目的とした.対象と方法:1996年1月から2011年9月の間にEUS-FNAまたは外科的切除を行い,病理学組織学的にGISTと診断された93例の内,確定診断時2cm未満であった29例【男:女=17:12,平均年齢65歳(39-79)】を対象とした.(1)腫瘍径2cm未満で外科切除された23例における臨床病理学的検討(2)1年以上経過観察をし得た2cm未満の胃GIST 【n=17,(1)と重複あり】の自然史についてretrospectiveに検討した.結果:(1)手術症例における検討では,平均腫瘍サイズは16mm(12-19mm)であった.18例(78%)に核分裂の測定がされており,ガイドラインによる悪性度分類では超低悪性:中間(核分裂数6-10/50視野)=16:2であった.(2)経過観察例における初診時の平均腫瘍径は12mm(3-18mm)で占拠部位は噴門部:穹窿部:体部=1:6:10であった.観察期間の中央値は85ヶ月(15-168)であった.12/17例(71%)は,経過観察中に腫瘍径が20%以上増大し,手術を施行された.腫瘍のdoubling timeの中央値は,27.4 month(2.7-95.5 month)であった.経過観察後に手術を施行された17例中1例(4%)に再発を認め,原病死した.考察:経過観察例に於いて,7割で腫瘍径が増大し,doubling timeの中央値は27.4ヶ月と比較的短期であったこと,手術症例の1割が中間リスクであったこと,経過観察中に急速増大し外科切除したが再発死亡した症例を認めたこと,などからGISTと診断されればたとえ腫瘍径が小さくても早期の外科切除を考慮すべきと考えられた.
索引用語