セッション情報 |
シンポジウム12
GIST研究の進歩と臨床への展開
|
タイトル |
S12-8:miR-196aとHOTAIRの高発現は消化管間質腫瘍の悪性化に関与する
|
演者 |
新沼 猛(札幌医科大学内科学第一講座) |
共同演者 |
鈴木 拓(札幌医科大学内科学第一講座), 篠村 恭久(札幌医科大学内科学第一講座) |
抄録 |
【背景と目的】GISTは消化管間葉系腫瘍の中で最も多い腫瘍である.近年,ノンコーディングRNAのひとつであるマイクロRNAが細胞の分化,増殖そして癌化において重要な役割を果たしていることが明らかになってきた.また,様々な腫瘍においてマイクロRNAの発現のプロファイルが変化すること,そして予後や臨床像と相関することが報告されているが,GISTにおける報告はまだわずかである.本研究ではGISTにおけるマイクロRNA発現プロファイルを解析し,悪性度の指標となるバイオマーカーを同定することを目的とした.【方法】56例のGIST新鮮凍結標本と,100例のGISTホルマリン固定パラフィン包埋標本を対象とし,マイクロRNA発現,遺伝子発現をマイクロアレイを用いて解析した.GIST-T1細胞株を用いてmiR-196aとHOTAIRの機能解析を行った.【結果】GISTのマイクロRNA発現の解析の結果,高リスク群においてmiR-196aの高発現が認められた.また,miR-196aの発現量は腫瘍径,細胞分裂数,転移と正の相関を示し,miR-196a高発現群は予後不良であった.遺伝子発現プロファイルの解析では,GIST検体はmiR-196a高発現の有無により2群に分けられた.その中でもHOXC遺伝子群の発現量が,miR-196a発現量ときわめて強い相関を示しており,HOXC遺伝子クラスター内にコードされているHOTAIRも高発現が認められた.HOTAIR発現は,高リスク群において上昇しており,miR-196aおよびHOXC遺伝子発現とも正の相関を示した.さらにHOTAIR高発現群は有意に高頻度に転移を示し,かつ予後不良であった.細胞株を用いた検討では,miR-196aの阻害により,細胞増殖には影響が見られなかったが,マトリゲル浸潤能を軽度に抑制した.また,HOTAIRをノックダウンしたところ,細胞増殖を軽度に抑制し,かつ浸潤能を高度に抑制することが確認された.以上の結果から,miR-196aおよびHOTAIRの高発現は,GIST細胞の浸潤・転移能を促進していることが示唆された. |
索引用語 |
|