セッション情報 |
シンポジウム13
消化器疾患における新規分子マーカー
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タイトル |
S13-1:StageII/III胃癌における新規バイオマーカーの検索
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演者 |
大島 貴(横浜市立大学消化器病センター外科) |
共同演者 |
國崎 主税(横浜市立大学消化器病センター外科), 今田 敏夫(横浜市立大学外科治療学) |
抄録 |
【目的】StageII/III胃癌の標準治療は根治切除後の補助化学療法であるが,新規バイオマーカーによる個別化治療によりさらなる治療成績の改善が期待される.われわれは胃癌組織と近接正常粘膜のペアの凍結検体よりmRNAを抽出してcDNAバンクを構築し,個別化治療を目的としたStageII/III胃癌の新規バイオマーカーの検索を進めて来た.これまでの成果を報告する.【方法】術後5年以上経過したStageII/III胃癌症例302例(うちS-1のadjuvant症例は168例)を対象にした.バイオマーカーの候補はDNA microarrayを用いた網羅的検索,SAGE libraryからの抽出などから計130遺伝子を選択し,定量PCR法にて胃癌組織と近接正常粘膜における各遺伝子の相対的発現量を測定し,臨床病理学的因子および治療成績との関係について検討した.さらに9種類の胃癌細胞株を用い,本検索で得た新規バイオマーカーをsiRNAでノックダウンして機能解析を行った.【結果】StageII/III胃癌切除症例では,INHBA,IGF-1R,CLDN7,およびDPD遺伝子が独立した予後不良因子であった.さらにS-1のadjuvant chemotherapyを施行した症例に限定すると,IGF-1R,INHBA,SULF1,REG4,MMP11およびKIAA1199遺伝子が独立した予後不良因子であった.これらの遺伝子のうち,KIAA1199遺伝子をsiRNA処理すると,胃癌細胞株の増殖能および浸潤能が著明に抑制され,5-FUに対する感受性が増強した.【結論】cDNAバンクを用いた胃癌の新規バイオマーカーの検索によって,StageII/III胃癌切除症例およびS-1のadjuvant chemotherapyを施行した症例の予後不良因子を同定した.現在,StageII/III胃癌の個別化治療を目指したリスク層別化ツールの開発と,KIAA1199を標的としたsmall molecule drugsの開発を進めている. |
索引用語 |
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