セッション情報 シンポジウム13

消化器疾患における新規分子マーカー

タイトル S13-2:

クローン病診断・治療マーカーにおけるHeat shock protein 47の重要性

演者 本澤 有介(京都大学消化器内科)
共同演者 仲瀬 裕志(京都大学消化器内科), 千葉 勉(京都大学消化器内科)
抄録 【目的】Crohn’s disease(CD)は腸管特異的な慢性炎症に伴い腸管粘膜に線維化が生じる.Heat shock protein47(HSP47)は小胞体に局在するストレス蛋白質として発見され,正常なcollagen(Col)の産生に必須の分子である.更にこの分子はColの蓄積を特徴とする各種線維化疾患において強く誘導され,その病態への関与が示唆されている.今回我々はHSP47のCDに対する診断・治療マーカーにおける意義を検討した.【方法】対象はCD 49例,ulcerative colitis(UC)52例,健常人27例.(1)ELISA法による血清HSP47値の測定(2)腸管組織中の(a)蛍光免疫染色法によるHSP47陽性細胞数の測定(b)qRT-PCRによるHSP47,Col,TGF-β1及びIL-17Aの遺伝子発現の解析(3)腸管組織よりmyofibroblastを単離し,TGF-β1及びIL-17A刺激後のHSP47及びColの発現をqRT-PCR及びWesternblot法にて検討(4)慢性腸炎を発症するIL-10欠損(IL-10-/-)マウスに対しHSP47siRNAを投与後,腸管線維化抑制効果を検討した.【結果】(1)血清HSP47値(ng/ml)はCD患者でUC患者及び健常人に比し有意に高く(CD:0.71±0.15,UC:0.28±0.07,健常人:0.19±0.08),狭窄を有するCD患者群の血清HSP47値は狭窄の無い群と比し高い傾向を認めた.(2)(a)腸管組織中のHSP47陽性細胞数はCD患者でUC患者に比し有意に増加していた.(b)CD腸管組織のHSP47,Col,IL-17Aの遺伝子発現はUC腸管組織に比し有意に増強していたが,TGF-β1の発現は両疾患群に差を認めなかった.(3)TGF-β1及びIL-17Aの刺激によりmyofibroblastのHSP47及びColの発現増強が認められた.(4)HSP47siRNAを投与されたIL-10-/-マウスでは非投与群に比して慢性炎症に伴うColの発現抑制がin vivoで確認された.【結語】血清及び腸管組織におけるHSP47の発現はCD患者でUC患者に比し有意に発現増強している事が示された.加えて,HSP47siRNA投与によるCol発現抑制が腸炎モデルで確認された.以上,HSP47はCDの診断・治療に重要な分子マーカーになりうる可能性が示唆された.
索引用語