セッション情報 シンポジウム13

消化器疾患における新規分子マーカー

タイトル S13-12:

膵腫瘍におけるNotch signalを通じたIndolamine 2,3-deoxygenase(IDO)陽性樹状細胞から誘導される末梢血中調節性T細胞モニタリングに関する検討

演者 池本 哲也(徳島大学外科)
共同演者 山田 眞一郎(徳島大学外科), 島田 光生(徳島大学外科)
抄録 【背景】我々はIPMNの組織学的悪性度が増すと,末梢血中調節性T細胞(Treg)が樹状細胞(DC)のIndolamine 2,3-deoxygenase(IDO)を介して誘導されることを報告した(Pancreas 2012)が,このIDOのkey regulatorは不明である.我々はDCの機能を制御すると報告されているNotch signal(Jagged)に着目し,IPMNの臨床病理学的因子および免疫担当細胞と比較検討し悪性度評価のbiomarkerとなり得るかどうかを検討した.【対象・方法】当科で切除されたIPMN 22例および膵癌症例20例.術前末梢血中Treg比率および切除組織の腫瘍辺縁部のFoxp3およびIDO免疫化学染色,腫瘍表面のNotch1,Notch2,Notch2-intracellular domain,Jagged1発現と,その他の臨床病理学的因子とを比較検討した.【結果】末梢血中Treg比率は組織学的悪性度に従い上昇(P<0.05)した.腫瘍辺縁のFoxp3陽性細胞数は上昇(P<0.01)し,IDO陽性細胞数も上昇しており(P<0.05),またこれらは予後と有意に相関していた(P<0.05).Treg比率,IDO陽性細胞数,Jagged 1発現は共に組織学的悪性度に関し腫瘍マーカーより強い相関を認めた.【結語】IPMN悪性度を末梢血Treg比率が反映するのは腫瘍辺縁でIDOがFoxp3陽性Tregを誘導する機序が考えられ,このIDO発現には腫瘍表面に発現したJagged 1が強く関与していると考えられた.Notch signalを通じたIDO陽性細胞から誘導される調節性T細胞モニタリングは手術適応決定に係る鋭敏なマーカーになり得ると考えられた.
索引用語