セッション情報 シンポジウム14

消化器領域における幹細胞研究の進歩

タイトル S14-14:

癌幹細胞の治療抵抗性獲得と解除におけるepigenetic修飾の関与

演者 森根 裕二(徳島大学外科)
共同演者 岩橋 衆一(徳島大学外科), 島田 光生(徳島大学外科)
抄録 【はじめに】癌治療抵抗性に癌幹細胞の役割が注目され,我々も癌幹細胞マーカーCD133・CD44発現の意義(J Gastroenterol. 2010)とともにHistone acetylationによる制御の可能性について報告してきた(Surgery 2012).今回,癌幹細胞におけるmethylation statusの変化について新たな知見を得たので報告する.【検討】検討1.Histone acetylationの抗癌剤増強・癌幹細胞制御効果:HuCCT1のGem・HDAC阻害(valproic acid:VPA)の併用効果(MTT),HCT-116におけるVPAによるsphere形成能,stemness gene(Oct4,Nanog,Bmi-1)発現変化(RT-PCR)を検討.検討2.癌幹細胞のmetylation status:HepG2においてsphereを作製し,癌細胞,sphere,VPAによりsphereを解除した群(各n=3)でmethylation statusの変化(Infinium 450K BeadChip)を検討(Infinium 450K BeadChip).【結果】1:HuCCT1においてGem 5nM+VPA 0.5mM併用では単剤に比べ増殖抑制効果が増強した.またVPAによりsphere形成能は減弱し,stemness gene(Oct4,Nanog,Bmi-1)はVPA濃度依存性に減弱した.2:sphere形成においては826 probe(beta値>0.1,P<0.05)が同定され,細胞分化,細胞周期,アポトーシスに関連する遺伝子のメチレーション変化を認めた.またVPAによるsphere解除においては29 probeが同定され,癌細胞増殖・血管新生に関与する遺伝子のメチレーション変化を認めた.【結語】癌幹細胞の治療抵抗性獲得とHistone acetylationによる癌肝細胞特性解除にmetylation statusの変化が関与している可能性がある.
索引用語