セッション情報 パネルディスカッション1

消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~

タイトル PD1-2:

自己免疫性膵炎確診例を用いたIgG4関連疾患包括診断基準の検討

演者 塩川 雅広(京都大学消化器内科学講座)
共同演者 児玉 裕三(京都大学消化器内科学講座), 千葉 勉(京都大学消化器内科学講座)
抄録 【背景】2011年にIgG4関連疾患の包括的診断基準が作成されたが,ミクリッツ病の診断感度が高いのに比べ,自己免疫性膵炎では感度が低いといわれている.【目的】2011年の自己免疫性膵炎の診断基準を満たす確診例91例を用いて,IgG4関連疾患の包括的診断基準を検討する.【患者】カルテ上自己免疫性膵炎と診断された135人のうち,2011年の自己免疫性膵炎の診断基準で確診例となる94人について検討した.【方法】自己免疫性膵炎の患者をIgG4関連疾患の包括的診断基準の項目ごとに検討し,最後に確定診断群,準確診群,疑診群のいずれに含まれるかを解析した.【結果】IgG4関連疾患の包括的診断基準項目1「臨床的に単一または複数臓器に特徴的なびまん性あるいは限局性腫大,腫瘤,結節,肥厚性病変を認める」は全例94/94(100%)で認めた.項目2「高IgG4血症(135mg/dl以上)を認める」は84/94例(89%)で認めた.項目3「病理組織学的に(1)著明なリンパ球,形質細胞の浸潤と線維化を認め,かつ(2)IgG4/IgG陽性細胞比40%以上,かつIgG4陽性形質細胞10/HPF以上」は(1)を満たす症例が10/94例(11%),(2)を満たすものが6/94例(6%)であり,項目3を満たす症例は6/94例(6%)であった.これらからIgG4関連疾患の包括的診断基準の確定診断群(definite)は2/94例(2%),準確定診断群(probable)4/94例(4%),疑診群(possible)86/94例(92%),いずれにも入らない群が2/94例(2%)であった.【考察】IgG4関連疾患の包括的診断基準は自己免疫性膵炎患者においては感度が低く,これは自己免疫性膵炎において病理組織がなくても診断できる症例が多いためであり,包括的診断基準項目3については今後検討が必要であると考えられた.
索引用語