セッション情報 パネルディスカッション1

消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~

タイトル PD1-9:

自己免疫性膵炎診断基準2011とIgG4関連硬化性胆管炎診断基準2011におけるoverlap例ならびに両診断基準の診断特異性の検討

演者 渡邉 貴之(信州大学消化器内科)
共同演者 丸山 真弘(信州大学消化器内科), 川 茂幸(信州大学総合健康安全センター)
抄録 【目的】IgG4関連疾患包括診断基準2011が提案されたが,消化器領域の対象疾患である自己免疫性膵炎(AIP),IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の診断においては,組織学的検索が困難なことから,通常それぞれの診断基準が用いられる.IgG4関連硬化性胆管炎診断基準2011には膵内胆管病変も包括されているが,多くは自己免疫性膵炎膵頭部病変と合致すると考えられ,両診断基準のoverlap例ならびに診断特異性について検討する必要がある.【対象・方法】対象は自己免疫性膵炎診断基準2011,IgG4関連硬化性胆管炎診断基準2011により診断されたIgG4関連膵胆管疾患93例である.AIPとIgG4-SCのoverlap症例における胆管像・膵頭部病変の頻度,AIPを伴わないIgG4-SCの胆管像を検討した.【結果】93例中,AIPは84例,IgG4-SCは79例であり両疾患のoverlapを70例(75%)認めた.70例の胆管病変の分布は,膵内胆管病変のみが60例,膵内胆管+膵外胆管に病変を認めるが9例,膵外胆管のみに病変を認めるが1例であった.膵内胆管に病変を認めた69例中63例にCTで明らかな膵頭部病変を認め,膵外胆管病変のみを認めた1例では膵頭部に病変を認めなかった.AIPを合併しないIgG4-SC 8例中はすべて膵外胆管病変であった.【結論】IgG4関連膵胆管症例の75%がAIPとIgG4-SCをoverlapしており,その多くは膵内胆管病変のみであった.膵内胆管病変は膵頭部病変を伴っていることが多く,AIPの膵頭部病変による2次的変化が主体と捉えることもできることから,膵内胆管病変のみの病態を包括することによるIgG4関連硬化性胆管炎診断基準の診断特異性については,今後の検討課題であると考えられる.
索引用語