セッション情報 |
パネルディスカッション1
消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~
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タイトル |
PD1-10[追加]:自己免疫性膵炎合併の有無からみたIgG4硬化性胆管炎の病態の違い
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演者 |
原田 憲一(金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理) |
共同演者 |
中沼 安二(金沢大学大学院医学系研究科形態機能病理) |
抄録 |
【目的】自己免疫性膵炎(AIP)を伴わないIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は,原発性硬化性胆管炎(PSC)および胆道癌との鑑別が重要であるが,臨床的に鑑別困難な症例が多い.今回,AIPの有無によるIgG4-SCの病理学的特徴の相違について検討した.【方法】対象は,AIP合併IgG4-SC7例,非合併IgG4-SC5例の外科的切除検体.【成績】病変の局在:AIP合併IgG4-SCでは中部から下部胆管および膵管に病変を認めたが,肝門部~肝内に病変を指摘された症例はなかった.一方,AIP非合併例では全例肝門部を主体とする病変であり,上部胆管,肝管分枝にも病変を伴っていた.偽腫瘍:AIP非合併5例のうち2例で肝門部に炎症性偽腫瘍の形成を認めた.組織像:肝外胆管の病変については,AIP合併,非合併共に胆管壁内~壁周囲を中心とする形質細胞リンパ球浸潤およびリンパ濾胞形成,多数のIgG4陽性細胞浸潤,閉塞性静脈炎などIgG4関連疾患の特徴が見られた.また,胆管の粘膜上皮は良く保たれており,特に胆管周囲付属腺,神経周囲に炎症が目立つ傾向があった.また,AIP非合併の肝門部では,PSCに類似する肝門部胆管の狭小化と拡張や胆管周囲付属腺の増生と拡張が高度な症例も認めた.肝門部でのIgG4陽性細胞の分布は,肝門部胆管周囲よりは線維化領域および神経周囲に目立つ傾向があった.BilIN:BilIN病変をAIP合併例の7例中2例に肝外胆管で認め,AIP非合併例では5例中3例に肝門部胆管で認めた.びらん:AIP合併例では目立つ好中球浸潤は認めなかったが,AIP非合併例では5例中3例に肝門部胆管における好中球浸潤を伴うびらんを認めた.【結語】AIP合併例と非合併IgG4-SCの肝外胆管における基本的な組織像は類似していた.しかし,非合併例では肝門部胆管病変を伴う点が主たる相違であり,特に肝門部胆管の狭窄と拡張,BilIN病変,びらんが,鑑別診断を困難にする要因と考えられた.謝辞:貴重な症例を拝見させて頂いた渡邉貴之先生,村木崇先生,浜野英明先生(信州大学医学部附属病院消化器内科)に深謝いたします. |
索引用語 |
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