セッション情報 パネルディスカッション1

消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療~包括的診断基準を受けて~

タイトル PD1-14:

当科における消化器領域IgG4関連疾患の診断と治療

演者 内田 一茂(関西医科大学内科学第三講座)
共同演者 岡崎 和一(関西医科大学内科学第三講座)
抄録 【目的】2011年にIgG4関連疾患(IgG4-RD)包括診断基準が作成され,消化器領域では自己免疫性膵炎(AIP)臨床診断基準2011やIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)臨床診断基準(2012)が作成された.今回我々は消化器領域におけるIgG4関連疾患の診断と治療について検討した.【方法】2006年1月から2011年8月までの間に当科にて自己免疫性膵炎(AIP)を含むIgG4関連疾患と診断された61例を対象とした.手術もしくは生検にて組織診断可能例は14例であった.平均年齢は64.4歳.男性43例,女性18例.内訳はAIP 58例,IgG4-SC 41例(AIPとの重複あり),肝炎症性偽腫瘍1例,IgG4関連食道病変(疑)1例.対象例に対して,包括診断基準,AIP国際コンセンサス(ICDC),AIP臨床診断基準2011,IgG4-SC臨床診断基準2012の正診率について検討した.治療についてはミニパルス療法を施行した15例(男性9例,女性6例)について比較検討した.【成績】自己免疫性膵炎58例についてはICDCではdefinite type1が57例AIP NOSが1例であった.診断基準2011では確診が53例で5例は診断できなかった.一方包括診断基準では疑診に該当する症例が48例であったが,確診,準確診症例はなかった.IgG4-SC41例では,診断基準2012で確診は40例,準確診は1例であった.包括診断基準からみると32例が疑診に該当するのみであった.肝炎症性偽腫瘍とIgG4関連食道病変についても包括診断基準では疑診例となった.ミニパルス療法では経口ステロイド療法と比較して,血液検査所見ではALT,γGTPの有意な低下がみられた.また胆管狭細像についても有意な改善が認められた.また経口ステロイドにて治療不十分な症例についてミニパルス療法は有用であった.【結論】包括診断基準はIgG4関連疾患の拾い上げには有用であるが,組織診断が困難な臓器の場合確定診断は困難であると考えられた.IgG4関連疾患においてステロイドミニパルス療法は初期治療として有用な治療法である可能性があると考えられた.
索引用語