セッション情報 パネルディスカッション2-1

生活習慣と消化器疾患:肝・胆

タイトル PD2-1-2[追加]:

生活習慣・メタボリックシンドロームからみたNAFLDと胆嚢疾患との関連

演者 大洞 昭博(朝日大学村上記念病院消化器内科)
共同演者 小島 孝雄(朝日大学村上記念病院消化器内科), 濱口 真英(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
抄録 【目的】生活習慣やメタボリックシンドローム(MS)とNAFLDや胆嚢疾患との関連について検討した.【方法】2004~2010年に当院健診センターを受診し,ウイルス性肝炎等の慢性肝疾患や胆嚢摘出後症例を除外し,同意が得られた18540名,平均年齢46.3歳(男性10911名,女性7629名,男性平均47.2歳,女性平均45.1歳)を対象とした.生活習慣は健診受診時の問診を,身体所見や血液生化学検査所見は健診結果を,胆嚢疾患と脂肪肝の診断は腹部超音波検査結果を用いた.脂肪肝の中で飲酒量がエタノール換算で20g以下/日の者をNAFLDとした.【結果】正常胆嚢(N)群16156名,胆嚢結石のみ(GBS)群524名(2.8%),胆嚢ポリープのみ(GBP)群1782名(9.6%),胆石+ポリープ群78名(0.4%).年齢・BMI・腹囲・血圧・空腹時血糖・HbA1c・中性脂肪はGBS>GBP>N群の順で高く,HDL-CはGBS<GBP<N群の順で低値.GBS群ではMSの頻度が有意に高く,MSと深く関連していた(オッズ比1.40,P=0.003)が,GBP群はMSと関連がなかった.加齢はGBSやGBPの危険因子であった.生活習慣では,コーヒー摂取習慣者の割合はGBP>N>GBS,喫煙習慣者の割合はGBP>GBS>Nの順に多く,男性における喫煙はGBPやGBSの危険因子であった.飲酒者の割合はN>GBP>GBSの順で多く,飲酒はGBPやGBSの抑制因子であった.一方,NAFLDは3324名(17.9%)に認めた.N群NAFLDは2853名(17.7%),GBS群NAFLDは142名(27.1%),GBP群NAFLDは310名(17.4%)で,有意にGBS群でNAFLDの合併頻度が高く,GBP群はN群より有意に少なかった.GBSはNAFLDの独立した危険因子(オッズ比1.53,P<0.001)であった.GBSとNAFLD各々の多変量解析結果を比較すると,加齢,BMI,MSが共通の危険因子であった.【結論】胆嚢ポリープと胆嚢結石は,異なる背景因子が関与していた.胆嚢結石はMSやNAFLDとも有意に関連する生活習慣病の一つであり,生活習慣改善指導などの介入が,その予防には必要と考えられた.
索引用語