セッション情報 パネルディスカッション2-1

生活習慣と消化器疾患:肝・胆

タイトル PD2-1-5[追加]:

生活習慣病がNAFLD/NASHの発症・進展に与える影響について

演者 島 俊英(大阪府済生会吹田病院消化器内科)
共同演者 水野 雅之(大阪府済生会吹田病院消化器内科), 岡上 武(大阪府済生会吹田病院消化器内科)
抄録 【目的】生活習慣病(MS)である糖尿病(DM),高血圧(HT),脂質異常症(HL),肥満の合併の有無が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症・進展や発癌に及ぼす影響について検討した.【対象および方法】2006-2011年に肝生検で診断したNAFLD444症例(男220例,年齢:51.6歳/女224例,61.8歳)を対象に,DM,HT,HL,肥満(BMI:25以上)の合併有無により2群に分け,NAFLD症例の分類はMatteoni分類に従い,grade,stageはBrunt分類に従った.単純性脂肪肝(SS),NASH,発癌例でのMS合併数も比較した.【結果】1)NAFLD患者のMS合併率(男/女)は,DM:44%/52%,HT:57%/78%,HL:83%/78%,肥満:71%/66%であった.2)男性NAFLDのMatteoni分類別(type 1/2/3/4)分布は,a)非DM群:31/33/16/44例,DM群:14/17/4/61例,b)非HT群:17/32/6/38,HT群:27/18/14/65で,DM群とHT群で有意にNASHの頻度が高かったが,HL,肥満の有無では差を認めなかった.また,MSの合併数(0/1/2/3/4個)は,SS群:6/18/30/27/14,NASH群:1/13/35/48/28で,NASH群に有意に複数合併頻度が高かった.3)女性では各MSの有無でtype分布に差を認めず,MSの合併数もSS群とNASH群に有意差は無かった.4)男性NASHでの線維化の程度(stage 0/1/2/3/4)は,a)非DM群:15/21/9/12/3例,DM群:3/31/13/16/2例,b)非HL群:6/5/4/1/2,HL群:12/47/18/26/3で,DM群とHL群で有意に線維化進展例が多かったが,HTと肥満の有無では差を認めなかった.5)女性NASHでは,DM,HT,HL,肥満の有無とstage分布に有意差はなかった.字数の関係上発癌例は当日発表とした.【結論】NAFLDでは男女とも高率に生活習慣病を合併していたが,男性NASH例では糖尿病の合併が線維化進展因子となっていた.発癌との関係も報告する.
索引用語