セッション情報 パネルディスカッション2-1

生活習慣と消化器疾患:肝・胆

タイトル PD2-1-12:

生活習慣からみた胆管癌の危険因子の検討

演者 細野 邦広(横浜市立大学内視鏡センター)
共同演者 窪田 賢輔(横浜市立大学内視鏡センター), 中島 淳(横浜市立大学内視鏡センター)
抄録 【目的】近年,生活習慣と消化器疾患の関連が注目されているが,胆管癌についてはその詳細な検討は未だ途上にある.胆管癌の危険因子として,原発性硬化性胆管炎,膵・胆管合流異常,胆嚢結石,胆嚢腺筋腫症などや,特定の化学物質が関与している可能性も報告されている.今回,高血圧や糖尿病,肥満などの生活習慣関連因子に注目し,胆管癌の危険因子を検討した.【方法】2009年9月から2012年8月の間に当院において胆管癌(胆嚢癌,十二指腸乳頭部癌は除く)と診断された106名(男性75名,女性31名)を対象に,患者背景として性別,年齢,BMI(体重減少前の体重で算出),喫煙歴,飲酒歴,癌家族歴,既往歴(糖尿病,高血圧,高脂血症)を検討し,CT,USなどの画像検査により胆石,肝内結石症,膵・胆管合流異常,脂肪肝の有無について解析した.なお年齢性別を一致させた非担癌患者547名(男性312名,女性235名)をコントロールとして胆管癌の危険因子を比較検討した(t検定).【結果】性別に両群を比較すると男性では,喫煙歴(胆管癌群62.5%,コントロール34.4%,P<0.05),BMIが胆管癌群で有意に高かった(23.6±2.6 vs 21.2±2.1,P<0.05).女性では高血圧(45.0% vs 25.9%,P<0.05),BMIが有意に高値であった(23.2±3.2 vs 21.9±4.2,P<0.05).メタボリック症候群の各因子と胆管癌のリスクファクターについて多変量解析を行ったところ,いずれも有意なリスクは認めなかった.【結論】胆管癌の危険因子としてBMIは男女共通の危険因子であったが,他の因子については男女で異なる結果であった.胆管癌の早期診断は重要な課題であり,多危険因子群を対象にした有効な検診が求められている.近年メタボリック症候群患者は確実に増加しており,胆管癌との関わりについても更なる検討が必要である.
索引用語