セッション情報 パネルディスカッション2-1

生活習慣と消化器疾患:肝・胆

タイトル PD2-1-14[追加]:

抗糖尿病薬メトフォルミンの肝癌細胞抑制メカニズム

演者 三好 久昭(香川大学医学部消化器・神経内科)
共同演者 加藤 清仁(香川大学医学部消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学医学部消化器・神経内科)
抄録 (背景)糖尿病患者が急激に増加する中,肝細胞癌の発生と進展の阻止を目的とした抗糖尿病薬の選択が今後重要となってくる.そこでメトフォルミンの肝癌細胞に関する抑制効果をin vitro,in vivoで証明し,その抑制メカニズムを1細胞周期2増殖因子レセプター3アポトーシス4血管新生分子5microRNAの観点から検討した.(方法)in vitroの系:種々の肝癌細胞株でメトフォルミン投与による細胞周期をcell proliferation assayで解析し,細胞周期の動態をフローサイトメトリーで検討した.メトフォルミンの肝癌細胞株における細胞周期,血管新生分子,microRNAの変化はそれぞれチップを用いて網羅的に解析した.アポトーシスの因子は切断されたCK18をELISA法によって検討した.in vivoの系:肝癌細胞株Huh7をヌードマウスに皮下移植し,メトフォルミンがin vivoで肝癌を抑制するかどうかを検討した.さらにメトフォルミン投与が皮下腫瘍に与える影響,細胞周期,血管新生分子,microRNAの変化をin vitroと同様の手法で解析した.(結果)in vitro,in vivoの系においてメトフォルミンは腫瘍細胞の増殖を抑制した.そのメカニズムとして,G1からS期に関するサイクリン,サイクリン依存性キナーゼを抑制した.またメトフォルミンは血管新生分子angiogenin,EGFRを抑制し,さらにアポトーシスも誘導した.またmicroRNAに関して,現在知られている癌促進的microRNAと癌抑制的microRNAの発現値を用いたクラスター解析から,メトフォルミン投与は非投与群と比較して異なるプロファイルを有していることが判明した.(結論)今後糖尿病の罹患率が増加する中,安価なメトフォルミンは肝細胞癌のcombination治療の1つのオプションになる可能性がある.
索引用語