セッション情報 パネルディスカッション2-1

生活習慣と消化器疾患:肝・胆

タイトル PD2-1-15[追加]:

本邦における腹腔鏡下胃袖状切除術のメタボリックサージェリーとしての可能性

演者 山本 寛(滋賀医科大学外科学)
共同演者 山口 剛(滋賀医科大学外科学), 谷 徹(滋賀医科大学外科学)
抄録 2010年1月,病的肥満症に対する腹腔鏡下胃袖状切除術(Laparoscopic Sleeve gatsrectomy;LSG)は,先進医療に承認され,当院でも2011年から先進医療としてスタートしている.LSGは日本人の病的肥満症に対する減量手術の一つとして,現在最も期待されている術式の一つであり,実際最も多く行われている手術である.一方,本手術は,近年,糖尿病を手術で治すいわゆるメタボリックサージェリーとしても注目されている.メタボリックサージェリーのゴールデンスタンダードは,restrictiveかつmalabsorptiveな効果をもつルーワイ胃バイパス術(laparoscopic Roux-en-Y gastric bypass;LRYGB)である.しかしながら,肥満の程度が強くなく(小太り)糖尿病である割合が高い日本人では,restrictive効果のみとされるLSGでも満足できる糖尿病改善効果が得られるのではないかという考え方もある.実際,当院で病的肥満症に対して行った16例のLSG手術症例中,7例の2型糖尿病を含む10例の耐糖能異常の患者全例で,術後耐糖能異常が改善した.最近の本邦における減量外科施設のアンケート調査でも,患者背景に差があるとはいえ,LSGはLRYGBと同等の糖尿病改善効果があったとの報告もある(Ohta et al. Asian J End Surg 2011).一方で,最近のRCTでは,LRYGBは圧倒的にLSGよりも糖尿病の改善効果が高いとする同じアジアの台湾からの報告(JW Lee et al. Arch Surg 2011)もあり,彼らはメタボリックサージェリーの適応を年齢・BMI・インスリン分泌能・糖尿病履病期間でスコア化して考慮すべきと唱えている.本発表では,本邦でのメタボリックサージェリーも含めた減量外科手術の現状を報告し,特に本邦で先進医療に承認されたLSGのメタボリックサージェリーとしての可能性について言及したい.
索引用語