セッション情報 パネルディスカッション2-2

生活習慣と消化器疾患:消化管・膵

タイトル PD2-2-2:

生活習慣を中心とした頭頸部・食道・胃癌患者背景に関する検討

演者 林 暁洋(鳥取大学機能病態内科学)
共同演者 八島 一夫(鳥取大学機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学機能病態内科学)
抄録 【目的】頭頸部癌,食道癌は飲酒・喫煙などの生活習慣が発癌に重要な影響を与える.また胃癌発生にはH.pylori感染が中心的な役割を果たすが,喫煙,塩分も危険因子と考えられている.今回われわれは生活習慣を中心とした頭頸部癌,食道癌,胃癌の患者背景の特徴を検討した.【方法】2011年6月から12月の間に,既往も含む頭頸部癌36例(男31:女5,平均年齢65.7),食道癌36例(男28:女8,平均年齢72.3),胃癌99例(男77:女22,平均年齢70.8)に対して,上部消化管内視鏡検査の際にアンケートを行い,生活習慣を含む患者背景を聴取した.同時期に同検査を行った上記癌の既往のない患者(658例)に性別・年齢をマッチさせたものをコントロール群160例として比較検討した.また,横山らが報告している「食道癌リスク検診問診票」に従って点数化も行った.【結果】頭頸部・食道・胃癌の3群間の比較では,頭頸部癌で女性比率が低く,平均年齢が低かった(p<0.01).頭頸部・食道・胃癌群で喫煙率はそれぞれ77.8%,77.8%,62.7%と頭頸部・食道群で高く(p<0.05),飲酒率は72.2%,66.7%,40.4%と頭頸部群で高かった(p<0.01).重複癌比率は16.7%,28.0%,7.1%と高く,癌家族歴は55.6%,55.6%,67.7%に認め高率であった.果物の摂取は頭頸部癌に少なかった(p<0.01).コントロール群との比較では,食道癌群はBrinkman指数1000以上,重複癌,BMIにおいて有意差を認め(p<0.01),胃癌群でBrinkman指数1000以上,胃癌家族歴において有意差を認めた(p<0.01).「食道癌リスク検診問診票」に従って点数化した各群における平均点は,頭頚部癌群7.08,食道癌群6.78,胃癌群4.70,3群間の重複例8.36,コントロール群3.81であった.高リスク群の11点以上の割合は,頭頚部癌群25.0%,食道癌群27.8%,胃癌群12.1%,3群間の重複例45.5%,コントロール群5.6%であった.【結論】生活習慣を中心としたリスク調査は,効率のよい頭頚部・食道・胃癌のスクリーニング,サーベイランスに有用と考えられた.
索引用語