セッション情報 パネルディスカッション2-2

生活習慣と消化器疾患:消化管・膵

タイトル PD2-2-4:

日常的運動による大腸癌予防:新規マイオカインsecreted protein acidic and rich in cysteine(SPARC)の発見とその意義

演者 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科学)
共同演者 高木 智久(京都府立医科大学消化器内科学), 青井 渉(京都府立大学生命環境科学)
抄録 【目的】運動の効能に関する科学的評価研究が進んでいる.これまでに日常的運動が,肝臓におけるミトコンドリア機能をperoxisome proliferator-activated receptor-γ coactivator-1α依存性に調節し,エネルギー代謝に影響することを明らかにしてきた(Am J Physiol Endocrinol Metab 2010, BBRC 2011).疫学的検討では,日常的運動,身体活動度が大腸癌の頻度に影響することが示されているが,その分子機構は明らかでない.本研究の目的は,マウス大腸癌モデルを用いて,日常的運動の効能を検証し,抗腫瘍効果に関与する筋肉由新規マイオカインを同定することである.【方法】マウスアゾキシメタン(AOM,12.5 mg/kg,i.p.)誘発大腸腫瘍モデルを用いた.運動は週に3回,18 m/min,30分をトレッドミル走により負荷した.細胞実験ではC2C12筋肉細胞を用いた.【成績】1)AOM2回投与6週後に評価した大腸粘膜aberrant crypt foci(ACF)は日常的運動により有意に抑制された.2)AOM投与により増加した大腸粘膜誘導型NO合成酵素(iNOS)mRNA発現,ニトロ化タンパク質は運動により有意に抑制されていた.3)骨格筋のDNAマイクロアレイ解析より運動により増加し加齢により低下する分泌タンパク質候補として,secreted protein acidic and rich in cysteine(SPARC)マイオカインを検出した.4)SPARCは,日常的運動により筋肉内で増加し,C2C12筋肉細胞の伸展刺激でも増加した.5)SPARC欠損マウスでは運動による抗腫瘍効果は消失した.6)合成ペプチドSPARCの皮下投与はAOM誘発大腸腫瘍を抑制した.7)アポトーシス関連分子の解析により,SPARCの抗腫瘍作用にcaspase 3,caspase 8の活性化を介したアポトーシス促進作用が関与していた.8)ヒトに対するトレッドミル負荷でも血中SPARCが増加することを確認した.【結論】日常的運動による大腸癌予防戦略に有用なバイオマーカーSPARCを同定した.
索引用語