セッション情報 |
パネルディスカッション2-2
生活習慣と消化器疾患:消化管・膵
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タイトル |
PD2-2-9:生活習慣病に注目した膵癌高危険群の囲い込み
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演者 |
深澤 光晴(山梨大学第一内科) |
共同演者 |
依田 芳起(山梨県厚生連健康管理センター), 榎本 信幸(山梨大学第一内科) |
抄録 |
【目的】膵癌診療ガイドラインでは喫煙,糖尿病,慢性膵炎が危険因子として挙げられているが,いずれも2-3倍の危険度であり,そのすべてに対して精密検査を行うことはできない.地域の検診施設と大学病院の共同研究により,生活習慣病と膵癌の関連について解析し,高危険群の囲い込みを試みた.【方法】2001年~2011年に診療した膵癌305例(P群)を対象とし,検診受診者605,948人から年齢性を一致させランダムに抽出した3050例をコントロール(C群)とした.検討1:膵癌と生活習慣病関連因子(BMI,喫煙,飲酒,癌既往,糖尿病,脂肪肝,胆石,高脂血症)の関連について検討し,年齢調整オッズ比を算出した.検討2:検討1のうち,前年に検診歴のある症例(P群120,C群2368)を対象として生活習慣病関連データの経時的変化を解析した.【成績】1:P群とC群を比較すると,男性では喫煙(P群51%/C群18%),糖尿病既往(25%/18%),新規糖尿病(20%/1%),大酒家(15%/1%),女性では喫煙(12%/3%),糖尿病既往(22%/9%),新規糖尿病(20%/1%),胆石(15%/6%)で有意差を認めた.ロジスティック解析によるオッズ比は,男性:喫煙3.1,糖尿病3.1,大酒家3.1,女性:喫煙5.3,糖尿病3.8,胆石3.0であった.上記を危険因子とした場合の保有因子数による膵癌危険度は,危険因子(RF)1:3.7倍,RF2:7.1倍,RF3:62.2倍であった.2:BMI,TG,Tcho,HbA1c,脂肪肝について前年データと比較すると,P群ではBMIの低下,HbA1cの上昇を認めた.BMIとHbA1cの変化をそれぞれ3群(低下,不変,上昇)に分け,組み合わせにより9分類すると,C群ではBMI不変/HbA1c不変が70%(P群16%)と最も多いのに対し,P群ではBMI低下/HbA1c上昇が30%(C群1%)と最も多く,分布に差が認められた.両者不変を1としてグループごとの膵癌危険度を算出すると,BMI低下/HbA1c上昇群は80倍と最も高値であった.【結語】生活習慣病と膵癌の関係が示唆され,保有危険因子数やBMIとHbA1cの経時的変化が高危険群の囲い込みに有用である. |
索引用語 |
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