セッション情報 |
パネルディスカッション3-1
高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管
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タイトル |
PD3-1-4:大腸内視鏡検査からみた高齢者における大腸腫瘍有病率の10年の変遷と内視鏡治療における合併症とその特徴
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演者 |
長田 太郎(順天堂大学消化器内科) |
共同演者 |
坂本 直人(順天堂大学消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】内視鏡技術の進歩に伴い80歳以上の高齢者に大腸内視鏡検査を行う機会が増加し適応病変があればESD治療も可能である.これまで大腸ESD術後発熱をきたす要因として年齢が関与していることを報告してきた.最近3年間と10年前の大腸内視鏡検査に占める高齢者と腫瘍性病変の割合の変化を解析し,高齢者のESD治療における合併症の特徴について検討した.【方法】1999年から2001年,2009年から2011年の3年間に大腸内視鏡検査を行った8767症例,10516症例を解析に用いた.全症例における80歳以上の患者数と腫瘍性病変有病率の推移について検討した.さらに2006年4月から2011年12月まで大腸ESDを施行した2cm以上のLST症例199症例を対象とし,術後発熱をきたした症例における年齢の関与を性別,病変の形態,局在,大きさ,術中穿孔の有無の各因子とで比較検討し,80歳以上の高齢症例の発熱頻度と特徴について検討した.【成績】全検査症例における80歳以上の患者数の割合は10年間で2.86%(251例)から5.40%(568例)(p<0.001)に増加し,80歳以上で腺腫を有する症例は全体の2.95%(109例)から6.54%(242例)(p<0.001)に増加した.最近3年間では80歳以上の症例の42.6%に腺腫を認め80歳未満(34.5%)に比べ有病率は高かった(p=0.0001).また大腸ESDを施行した全症例の47.5%に37℃以上の発熱を認めた.発熱に関与する要因は多変量解析で年齢1.05(1.01-1.08 p=0.005)と病変の大きさ1.05(1.02-1.08 p=0.0003)が術後発熱に影響を認めた.80才以上では70.6%(p=0.04)に発熱を認め,発熱期間は平均3.3日で最長13日であった.【結論】10年間で大腸内視鏡検査を行った高齢者は有意に増加し腫瘍性病変の有病率も増加し,治療に伴う合併症リスクの増大が示唆された.今後,高齢者に対する内視鏡治療の増加が予想され,年齢に応じた術後マネージメントを確立する必要があると考えられた. |
索引用語 |
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