セッション情報 パネルディスカッション3-1

高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

タイトル PD3-1-7:

高齢者に対する大腸ESDの治療成績と安全性の検討

演者 小薗 雅哉(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 船川 慶太(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】近年食道・胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が広く普及し,加えてH24年4月からは大腸ESDが保険収載された.人口の高齢化に伴い,高齢者に対してもESDが施行される機会が増えている.今回75歳以上の高齢者に対するESDの治療成績と安全性を検討した.【方法】2009年1月から2012年7月の期間に当院でESDを施行した大腸腫瘍性病変91例(男性51名,女性40名),94病変(上皮性腫瘍88病変,上皮下腫瘍6病変(カルチノイド))を対象とした.75歳以上の高齢者群30例・31病変,75歳未満の非高齢者群61例・63病変の2群に分類し,治療成績,切除時間,在院日数,偶発症(出血,穿孔,発熱)について比較した.【結果】一括完全切除率は高齢者群:96.7%(30/31),非高齢者群:96.8%(61/63)で2群間に有意差を認めなかった.切除時間は高齢者群:中央値85分(±44),非高齢者群:中央値110分(±99)であり,非高齢者群において切除時間が有意に長かった(P<0.05).原因としては再発症例,線維化症例,部位困難例(バウヒンベン上)が非高齢者群において多かったことであった.在院日数は高齢者群:中央値11日(±4.4),非高齢者群:中央値11日(±3.3)で,有意差を認めなかった.偶発症は高齢者群では後出血率0%(0/30),穿孔率3%(1/30),38度以上の発熱0%であった.1例穿孔を認めたが,穿孔部をクリップで縫縮し保存的に経過をみることができた.出血,穿孔,発熱とも両群において有意差を認めなかった.【考察】非高齢者群において切除時間が長かった以外は一括完全切除率,在院日数,偶発症は両群間で有意差を認めなかった.一般に高齢者では諸臓器の予備能が低下しているため重篤な合併症が起こり易いのではないかと懸念されるが,十分な準備のもとで行うことにより,大腸ESDは高齢者にも安全かつ有効な治療法になりうると考えられた.
索引用語