セッション情報 |
パネルディスカッション3-1
高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管
|
タイトル |
PD3-1-10:高齢者における感染性急性胃腸炎の現実と課題―明らかになった混合感染・重複感染―
|
演者 |
中嶋 均(東邦大学総合診療科) |
共同演者 |
渡邉 利泰(東邦大学総合診療科), 瓜田 純久(東邦大学総合診療科) |
抄録 |
【背景・目的】細菌やウィルスが原因の急性胃腸炎では小児や高齢者などが弱者とされより注意深い対応が必要とされている.我々は以前から急性胃腸炎における病原検索を続けているが,今回,当科を受診した急性胃腸炎患者のうち特に60歳以上の症例に関して検討したのでその現実と課題について報告する.【対象・方法】対象は2011年1月から2012年2月までの期間に当センターを受診し,ウィルスと細菌の両者の検索をしえた急性胃腸炎患者193例のうち,60歳以上の26例(13.5%)で,その内訳は男/女;13/13,年齢;60-89歳(平均71.7歳)である.ウィルスは市販の迅速キット(QUICKNAVI-NORO,Otsuka Pharmaceutical Co. BD Rota/AdenoExaman Stick,Becton and Dickinson Co.)にて施行,ロタウィルス,アデノウィルス,ノロウィルスの3種を検索した.検体採取後,キットにて速やかにウィルスのチェックを行い,同検体を細菌培養へ提出する.【結果】全26例のうち入院管理となったものが9例(34.6%),ウィルスあるいは細菌のいずれかの感染が確認されたのは23例(88.5%)で,ウィルス単独感染が7例(26.9%),細菌単独感染が9例(34.6%),細菌とウィルスの混合感染が7例(26.9%)であった.血性下痢を訴えた5例全てで病原体が検出された.死亡例はなく,入院治療の比率は高く26例中9例(34.6%)であった.経過中に脳梗塞を併発した1例があった.【考察】60歳以上の高齢者の急性胃腸炎で感染が確認されたものが26例中23例で実に88.5%であり,入院率も高い傾向であり26例中9例(34.6%)であった.感染源はウィルスとウィルスの重複感染,ウィルスと細菌の混合感染が約1/3あり,高齢者の急性胃腸炎診療のブレークスルーとして期待される点である.数は少ないが合併症の発生にも注意が必要である. |
索引用語 |
|