セッション情報 パネルディスカッション3-1

高齢者消化器疾患の現状と対策:消化管

タイトル PD3-1-11:

高齢者潰瘍性大腸炎におけるGMAの有効性と免疫調節剤の必要性

演者 生方 聡史(大阪府済生会中津病院消化器内科)
共同演者 福知 工(大阪府済生会中津病院消化器内科), 蘆田 潔(大阪府済生会中津病院消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)に対する顆粒球除去療法(GMA)による寛解導入,免疫調節剤による寛解維持は確立しているが,高齢者では合併症が懸念される.高齢者UCのGMAの寛解導入と安全性,免疫調節剤の必要性を検討した.【方法】1).60歳以上を高齢者と定義,PSL非投与の活動期UCでweekly GMA(1回/週)を行った高齢者UC10例と,病変範囲をマッチングさせた非高齢者UC 10例の2週毎の寛解導入率(clinical activity index(CAI)4以下を寛解と定義)の比較を行った.次にPSL非投与の活動期UCでintensive GMA(2回/週)を行った高齢者UC9例と,病変範囲をマッチングさせた非高齢者UC9例の2週毎の寛解導入率を比較した.2).GMAで寛解導入して免疫調節剤を使用せず5-ASAのみで寛解維持を行った高齢者UC13例と非高齢者UC17例の寛解維持率を比較した.【結果】1).weekly GMAの寛解導入率は高齢者UCで(2,4,6,8,10週目)=(0,30,40,70,80)(%),非高齢者UCで(20,40,50,60,70)(%)で,どの時期でも有意差はなかった.intensive GMAの寛解導入率は高齢者UCで(2,4,6週目)=(66.7,66.7,66.7)(%),非高齢者UCで(33.3,55.6,77.8)(%)で,どの時期でも有意差はなかった.何れの症例も重篤な副作用はなかった.2).寛解導入症例の5-ASAのみでの1年間の寛解維持率は高齢者UCで76.9%,非高齢者UCで41.1%で,高齢者UCで高い傾向であった(p=0.050).【結論】GMAは高齢者UCでも安全にintensiveで施行可能で早く寛解導入し得る.高齢者UCは非高齢者と異なり免疫調節剤なくとも寛解維持し得る可能性が示唆された.
索引用語