セッション情報 | パネルディスカッション3-2高齢者消化器疾患の現状と対策:肝胆膵 |
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タイトル | PD3-2-2:高齢者C型慢性肝炎・肝硬変の長期予後 |
演者 | 小林 正宏(虎の門病院肝臓センター) |
共同演者 | 池田 健次(虎の門病院肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター) |
抄録 | 【目的】高齢者は肝疾患以外にも様々な疾患を合併している場合が多く,慢性の経過をたどるC型慢性肝疾患においても,何が患者の予後やQOLに影響を及ぼすかを考慮し治療適応を判断する必要がある.今回は当院で60歳以降の経過を観察し得た症例の予後を検討した. 【対象と方法】対象は1990年より2000年までに当院を受診した60歳以上のC型慢性肝炎734例,C型肝硬変311例で,2010年までの経過を観察した.観察開始時の年齢は中央値67歳,男性が53%であった.観察期間の中央値は9.4年であった. 【結果】C型慢性肝炎の患者に対しては14.3%にIFN,58.7%に肝庇護療法が行われ,同様に肝硬変患者に対しては12.2%にIFN,62.7%に肝庇護療法が行われていた.IFNはすべて単独で投与されSVRは132例中42例(31.8%)で達成された.慢性肝炎よりの肝硬変進展率は5年16%,10年30%,20年58%であり,IFNでSVRを達成した例からの進展はなく,非投与例と非SVR例はほぼ同等の肝硬変進展率であった.また観察開始時慢性肝炎の症例からは5年9%・10年20%・20年60%の頻度で肝癌を認め,肝硬変症例からは5年45%・10年63%・20年81%の発癌を認めた.肝癌についても慢性肝炎のSVR例からは発癌は無く,非投与例と非SVR例は同等の発癌率であった.肝硬変からの発癌ではSVR例からも5年10%・10年21%の発癌を認め,非投与例と非SVR例の発癌は同等であった.最終転帰が死亡327症例の死因を調べると,肝癌死32.7%・肝不全死22.6%・消化管出血5.2%であり,これらを合計した肝疾患関連死は60.6%であった.これ以外に感染症死11.6%・脳出血3.7%であり,肝疾患の進行した状態で発生した症例を加えると肝疾患関連死は最大で71.6%となった. 【結論】今回の検討から高齢C型慢性肝炎・肝硬変患者死亡例の70%以上が広義の肝疾患関連死であった.また肝硬変進展,肝発癌を阻止する最大の要因はウイルス排除の可否であるが,高齢者ではIFNを中心とした併用療法の認容性は低く,今後IFNを含まないDAA製剤の導入でより多くの症例でウイルス排除が可能となることが望まれる. |
索引用語 |