セッション情報 パネルディスカッション3-2

高齢者消化器疾患の現状と対策:肝胆膵

タイトル PD3-2-4:

経皮的RFA療法は,75歳以上の高齢肝癌患者に対しても安全かつ有効な治療法である

演者 岩田 郁(福岡大学医学部消化器内科)
共同演者 早田 哲郎(福岡大学医学部消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学医学部消化器内科)
抄録 【目的】日本では肝細胞癌患者の高齢者の比率が増加している.高齢者肝癌の特徴としては,B型肝炎に起因するものが少なく,一方で非B非Cの肝癌が増加する傾向にある.また,高齢者は非肝硬変からの発癌が認められるなど,併存疾患や全身状態を考え選択すれば,十分に治療対象となる肝癌症例も存在する.そこで本研究では,高齢の肝細胞癌患者の経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)の有効性と安全性について評価した.【方法】2000年から2011年の間にRFA治療の適応である3cm以下,3個以内の肝細胞癌に対しRFA治療を行った374人の高齢患者(65歳以上)を対象とした.高齢患者を2群に分けた.65歳から74歳までの前期高齢者群(n=231).75歳以上の後期高齢者群(n=143).これらについて治療前の背景,RFA治療による合併症,および予後に関して2群間の比較を行った.【成績】前期高齢者群と比較して後期高齢者群では最大腫瘍径が有意に大きかった(p=0.048).その他の治療前の患者背景や,治療による合併症の出現率は,2群間に有意差は認めなかった.予後についても,前期高齢者群の5年および7年生存率はそれぞれ48%と30%,後期高齢者群の5年および7年はそれぞれ48%と34%であり,生存期間の中央値は前期高齢者群が1779日,後期高齢者群が1790日と2群間に有意差は認めなかった(p=0.564).【結論】RFA治療の安全性と効果は,前期高齢者と後期高齢者では差を認めなかった.肝細胞癌のためのRFA治療は,後期高齢者にも十分可能な治療法である.
索引用語