セッション情報 パネルディスカッション3-2

高齢者消化器疾患の現状と対策:肝胆膵

タイトル PD3-2-5:

高齢肝細胞癌患者に対する経皮的ラジオ波焼灼療法の長期成績

演者 藤原 直人(東京大学医学部消化器内科)
共同演者 建石 良介(東京大学医学部消化器内科), 小池 和彦(東京大学医学部消化器内科)
抄録 【目的】高齢肝細胞癌症例の特徴,及びRFAの長期治療成績を明らかにする.【方法】1999年から2011年に当院でRFAを施行した肝細胞癌症例1402人を対象に初回治療時の年齢を<75才,≧75才の二群に分けて解析した.初回治療年をA:2002年以前,B:2003-2005年,C:2006-2008年,D:2009年以降の4つの年代に分け高齢症例数・背景肝因子・腫瘍因子の推移を検討・比較した.生存率をKaplan-Meier法,Log-rank検定を用いて比較するとともに死因を肝癌関連死,肝不全死,他因死に分けて競合リスクモデルで両群の各死亡率を比較し,危険因子を検討した.【結果】≧75才症例は353人(25.1%)であった.各年代の高齢症例の占める割合は各々A:16.7%,B:23.3%,C:27.6%,D:32.5%であり有意に上昇していた(P=0.0077).高齢症例は女性が多く(<75才/≧75才:32.8%/45.9%,P<0.001),病因はHCVが多く(P<0.001),Child-Pugh Aの割合が多かった(74.7%/81.3%,P=0.015).また,腫瘍因子は最大腫瘍径に差はなく(2.4±1.0cm/2.5±1.1cm,P=0.36),腫瘍数は少なかった(1.7±1.2/1.6±1.0,P=0.02).5年生存率は<75才で62.6%,≧75才は52.2%で有意差を認めた(P<0.001)が,死因別では5年肝細胞癌関連死亡率に差はなく(<75才/≧75才:22.5%/20.6%,P=0.71),他因死に有意差を認めた(<75才/≧75才:6.1%/15.4%,P<0.001).多変量解析による肝細胞癌関連死の予後因子は男性,AST,ALT,AFP≧100ng/ml,DCP≧100mAu/ml,Child-Pugh BまたはC,最大腫瘍径,腫瘍数,HBs抗原陰性であった.【結論】高齢肝細胞癌に対するRFAは若年者と変わらない肝細胞癌関連死率であり治療効果が期待できる.一方,高齢者は他因死が多く全人的なフォローを要する.
索引用語