セッション情報 |
パネルディスカッション3-2
高齢者消化器疾患の現状と対策:肝胆膵
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タイトル |
PD3-2-8:細菌培養検査から見た高齢者における急性胆管炎の特徴
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演者 |
吉村 茂修(亀田総合病院) |
共同演者 |
中路 聡(亀田総合病院), 平田 信人(亀田総合病院) |
抄録 |
【目的】高齢者における急性胆管炎の特徴を細菌学的検査を中心に検証した.【方法】65歳以上を高齢者群(65~74歳:前期,75~84歳:後期,85歳以上:超)とし64歳以下の非高齢者と比較した.重症度分類は国内ガイドラインを用い,患者背景・転帰・入院期間を比較した.また,胆汁培養・血液培養の陽性率や起因菌についても比較・検討した.【結果】2008年6月から2012年5月までの急性胆管炎症例は786例であり非高齢者群151例,高齢者群635例(前期165例,後期275例,超195例)であった.高齢者群は有意に重症率が高く(P<0.01),年齢階級が上昇するに従い重症の比率は高くなり非高齢者に対するオッズ比は1.85,2.72,2.81であった.転帰は死亡率に有意差は認められなかったが(3.3% vs 5.5%,P=0.27,OR1.7),入院期間で高齢者群が有意に長かった(12.0日vs 19.1日,P<0.01).血液培養は72.6%(571/786)に施行され陽性率は高齢者群で有意に高く(36.2% vs 53.7%,P<0.01,OR2.0),血培陽性群における平均陽性菌腫数も高齢者群で有意に高かった(1.2 vs 1.4,P<0.01).血培陽性群において死亡率に有意差は認められなかったが入院期間で高齢者群が有意に延長していた(14.6日vs 22.1日,P<0.01).胆汁培養は86.5%(680/786)に施行され平均陽性菌腫数は高齢者群で有意に高かった(1.6 vs 2.4,P<0.01).また,高齢者群では初期選択の抗生剤が無効なESBL産生菌・緑膿菌・Enterococcus faeciumが有意に高率であった.【結論】高齢群の胆管炎は受診時に菌血症を併発していることが多く,また複数の起因菌が存在する頻度が高い.耐性菌の頻度も高いため,初診時には可能な限り培養検査を施行した上で広域なスペクトルを有する抗生剤を選択し培養結果が判明した時点で速やかにde-escalationを行う必要があると考えられた. |
索引用語 |
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