セッション情報 |
パネルディスカッション3-2
高齢者消化器疾患の現状と対策:肝胆膵
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タイトル |
PD3-2-9:当院での80歳以上の高齢者における胆管結石の現状と治療戦略
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演者 |
金森 明(大垣市民病院消化器内科) |
共同演者 |
熊田 卓(大垣市民病院消化器内科), 桐山 勢生(大垣市民病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】社会の高齢化に伴い,高齢者の胆管結石に対し内視鏡的処置を行い,診断治療する機会が増えてきた.今回我々は高齢者の胆管結石に対する施設での治療の妥当性を検討した.【対象,方法】当院で内視鏡治療を施行した初回治療でかつ6カ月以上経過観察が可能であった1210例(EST:879例,EPBD:249例)を対象とし,80歳以上のO群;250例と80歳未満のE群;960例に分け検討した.検討項目は,各治療群における患者背景の比較,長期治療成績とした.【成績】1)平均年齢はO群85.1歳,E群62.8歳.O群の治療法はEST;236例(94.4%);EPBD;14例(3.6%)でありE群はEST;720例(75%)EPBD;240例(25%)であった.結石が単発で径10mm未満の比率はO群53.6%;E群74.4%であった.2)長期治療成績;内視鏡治療時の胆嚢の状態により胆摘後(A)132例,胆嚢結石放置例(B)325例,截石後胆摘例(C)473例,無石胆嚢例(D)198例の4群に分類した.平均観察期間は1641日で膵胆道系障害の発生が177例(14.6%)みられた.内訳は胆管結石再発128例,急性胆管炎29例,急性胆嚢炎11例,胆石性膵炎9例であり,累積発生率はO群2年21.3%:3年27.2%,E群2年8.1%:3年10.8%でありE群が有意に低かった(p<0.0001).一方,再発に関する因子を年齢,性,治療法,結石径,胆管径,胆嚢の状態(A-D群),傍乳頭憩室の有無,に関して単変量での解析を行うと年齢,性,治療法,結石径,胆嚢の状態で有意差を認めた.多変量解析では胆嚢の状態が有意に膵胆道障害の合併と関連がみられた.無石胆嚢群を1とした場合のハザード比は截石後胆摘群が0.519:95%CI 0.281-0.961,胆嚢結石放置群が1.779:95%CI 1.059-2.996であった.【結論】外科治療に際しては状態を考慮し行う必要があるが,年齢は再発の有意な因子ではなかった.内視鏡的治療後の胆嚢の治療方針により長期予後に有意差がみられた. |
索引用語 |
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