セッション情報 |
パネルディスカッション4
遺伝子多型解析と消化器疾患
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タイトル |
PD4-6[追加]:NSAIDs起因性小腸傷害関連遺伝子多型の模索
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演者 |
藤森 俊二(日本医科大学消化器内科) |
共同演者 |
莚田 泰誠(理化学研究所ゲノム医科学研究センター), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科) |
抄録 |
【背景・目的】健常人ボランティアに非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を投与した2つの試験(GIE 2009;69:1339-46, JG 2011;46:57-64)で,NSAIDs起因性小腸傷害には個体差が認められた.近年のNSAIDs起因性上部消化管傷害を主とした検討でNSAIDs代謝酵素であるCYP2C9,CYP3A4やCOX-1の遺伝子多型が個体差に関与するとの報告がある.現在調べられている遺伝子多型は限られたもので,他により関与の高い遺伝子多型の存在する可能性が考えられる.今回我々は症例対照関連研究によりNSAIDs起因性小腸粘膜傷害に関与する遺伝子多型を特定することを計画した.【対象】カプセル内視鏡を用いて通常型NSAIDsによる小腸傷害の有無が明らかとなっていて,遺伝子解析について同意の得られた前記試験参加健常人55例,および患者8例.【方法】NSAIDsにより小腸傷害が生じる症例を粘膜欠損数で軽症群と重症群に分け(粘膜欠損5か所以上重症群),NSAIDsにより小腸傷害が生じない症例を対照群として,NSAIDs起因性消化管傷害との関連が疑われている16遺伝子について,45箇所のSNPsについて初期解析を行った.【結果】NSAIDs起因性小腸粘膜傷害重症群は16例,軽症群15例,無傷害群32例であった.重症群と軽症群合計31例と無傷害群32例を比較した場合,PTGS1遺伝子のSNP(rs1330344)にP=0.060,CRP遺伝子のSNP(rs1205)にP=0.077,また,重症群16例と軽症群,無傷害群計47例を比較した場合,CYP3A4*16のSNP(rs12721627)にP=0.061のNSAIDs起因性小腸粘膜傷害関連遺伝子多型候補を認めた.特にCYP3A4*16のC/G型は重症例にしか認められなかった.【結論】NSAIDs起因性小腸粘膜傷害について関連遺伝子多型候補を見出すことができた.今後症例を増やすとともにGWASを行う予定である.(本研究は浜松医科大学臨床研究管理センター古田隆久先生の協力を得ています.) |
索引用語 |
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