セッション情報 パネルディスカッション4

遺伝子多型解析と消化器疾患

タイトル PD4-9:

C型慢性肝炎の治療とIL28BおよびITPA geneの遺伝子多型の関係

演者 鈴木 文孝(虎の門病院肝臓センター)
共同演者 芥田 憲夫(虎の門病院肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対する治療は,Telaprevir(TVR)とPeginterferon(PEG),Ribavirin(RBV)併用療法が現在最も効果のある治療である.治療の効果や副作用に関係するIL28BとITPA geneの遺伝子を検討した.【方法】PEG/RBV/TVR治療;対象は,Genotype 1型,高ウイルス量症例で第III相治験にて治療を行った61例(Group A)と製造販売後治療を開始した症例で治療開始後12週以上経過した112例(Group B)の合計173例である.Group BではTVR開始時の投与量は2250mg/日を52例,1500mg/日を60例で使用した.1500mg投与群と2250mg投与群の背景は1500mg群で女性が多く(63%:6%),年齢が高く(62:56yr),体重が少なく(56:69Kg),Hb値が低かった(13.7:15.1).IL28B領域のSNP(rs8099917)とITPAのSNP(rs1127354)を解析した.【成績】SVR24の判定可能な症例は61例(Group A)であり,IL28BがTTでは94%,TG/GGでは40%であった.(P<0.0001)またTG/GG群ではHCV Core aa70がwild typeでSVR率が高かった(64%:21%,P=0.049).Group BではTVR1500mg群と2250mg群の治療開始12週目,24週目(終了時)のRNAの陰性化率はそれぞれ100%/98%,91%/100%であった.1500mg群で24週目までにRNAが再陽性化した4例は全例女性,IL28Bは3例がTGであった.現時点での治療中止は4例(4%)であり,全体のTT:TG/GGでのSVR4,SVR12はそれぞれ98%(39/40):75%(9/12),83%(9/11):75%(3/4)であった.1500mg群:2250mg群でのSVR4,SVR12はそれぞれ82%(18/22):100%(30/30),71%(4/7):100%(8/8)であった.66歳以上の症例(15例)では,SVR4はTT88%,TG/GG71%であった.Group BでHbの低下(12週目)は1500mg,2250mgで-3.7:-4.5g/dLであった.また,2250mg群では2週目から6週目にかけてITPAがCC typeで有意にHb値の低下が認められた(4週目CC-3.7:CA-1.6)が,1500mg群ではHb値の低下がITPAのCC群でも緩やかであった(4週目CC-3.0).【結論】症例の背景によりTVRを減量開始することによって中止率は低率となり,TT,TG/GGいずれにおいてもSVR4は高率であった.
索引用語