セッション情報 パネルディスカッション4

遺伝子多型解析と消化器疾患

タイトル PD4-10[追加]:

C型慢性肝炎の病態における肝脂肪化とPNPLA3,およびIL28B遺伝子多型の意義の検討

演者 前川 伸哉(山梨大学第一内科)
共同演者 坂本 穣(山梨大学第一内科), 榎本 信幸(山梨大学第一内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎において,肝脂肪化は病態を修飾する重要な因子と考えられる.インターフェロン治療効果と関連する多型として見出されたIL28Bは最近肝脂肪化とも関連することが報告され,一方でNASHとの相関が報告されているPNPLA3もC型肝炎の病態に関与する可能性が示されつつある.本研究ではPNPLA3,IL28B,さらに肝脂肪化との関連が報告されているHCVコア遺伝子の多型とC型慢性肝炎の病態の関連を明らかにすることを目的とした.【方法】PEG-IFN/RBV療法を導入したGenotype-1b109例を対象とした.IL28B(rs80899917),PNPLA3(rs738409)の遺伝子多型,ならびにCore70番を含むウイルス変異を検索し,臨床的意義について検討した.【成績】IL28B TT群とTG/GG群の比較において,BMI,総コレステロール,ALT,線維化ステージでは両者に差を認めなかったが,TG/GG群においてG-GTP(p<0.001)とAFP(p=0.004)高値,HCV-RNA量(p=0.08)は低い傾向を認めた.PNPLA3 CC/CG群とGG群の比較ではBMI,総コレステロール,ALT,線維化ステージ,AFP,HCV-RNA量において差を認めなかったが,CC/CG群でG-GTP(p=0.049)が有意に高値であった.ウイルス因子コア70番のR群と非R群の比較では,コア70番非R群でG-GTP(p=2.0E-05),AFP(p=2.6E-05)高値,コレステロール(p=0.08)も高値傾向であり,血小板(p=0.01)は低値,線維化ステージ(p=0.07)も進展する傾向であった.一方,コア70番多型とIL28B SNPに顕著な相関(p<0.001)を認めたが,コア70番とPNPLA3 SNPの間には有意な関連を認めなかった.PEG-IFN/RBV治療効果との関連をIL28Bとコア70番多型に認めたが,PNPLA3には認めなかった.【考案及び結語】C型肝炎において,IL28B,PNPLA3,およびコア70番多型はG-GTP上昇に反映される肝脂肪化に関与し,病態を規定していた.特にコア70番とIL28Bと相互に強く影響し合い,一方PNPLA3は独立して肝脂肪化に関与することが示された.今後肝硬変からHCC発症における役割を明らかにするためにさらなる検討が必要と考えられた.
索引用語