セッション情報 パネルディスカッション4

遺伝子多型解析と消化器疾患

タイトル PD4-12[追加]:

肝線維化関連遺伝子多型とC型慢性肝炎進展との関連

演者 岡本 欣也(鳥取大学医学部第二内科)
共同演者 三好 憲一(鳥取大学医学部第二内科), 村脇 義和(鳥取大学医学部第二内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患の進展速度は患者間で大きく異なっており,病因のみならず宿主側因子の関与も示唆されている.近年,遺伝子多型と様々な疾患との関連が指摘されている.今回我々は肝線維化関連サイトカイン及びマトリックス代謝関連因子の機能的遺伝子多型とC型慢性肝肝炎進展との関連について検討した.【方法】C型慢性肝疾患患者183例(慢性肝炎:CH 93例,肝硬変:LC 90例)を対象とし,機能的遺伝子多型TGF-b1+869T/C,CTGF -945G/C,IL-1b -31C/T,IL-1RN VNTR,IL-10 -824T/C,IL-10 -1087A/G,MMP-1 -1607 1G/2G,MMP-2 -1306 C/T,MMP-3 -1171 5A/6A,MMP-9 -1562 C/T,TIMP-1 372C/T,TIMP-2 -418G/Tについて解析した.【成績】CHとLCで遺伝子多型頻度を比較すると,TGFb-1,CTGF,MMP-1,TIMP-2の高転写活性アレルの頻度がLCで有意に高いことが示された.5年間の肝線維化進展を観察できた症例で検討すると,TIMP-2の高転写活性アレルで肝線維化速度が早いことが示された.LC内での肝予備能と遺伝子多型の関連を検討すると,CTGF,MMP-3,TIMP-2の高転写活性アレルと,MMP-9,IL-10の低転写活性アレルが,肝予備能低下群で高頻度に認められた.【結論】C型慢性肝炎において,肝線維化関連因子の機能的遺伝子多型は,肝線維化進展速度および肝実質機能低下と関連していた.今後これらの多型解析により肝線維化進展および肝不全への移行の危険性を予測し,原因治療導入などの判定に利用できるものと思われる.
索引用語