セッション情報 パネルディスカッション4

遺伝子多型解析と消化器疾患

タイトル PD4-15[追加]:

非アルコール性脂肪性肝疾患と肥満遺伝子

演者 及川 寛太(岩手医科大学消化器・肝臓内科)
共同演者 滝川 康裕(岩手医科大学消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医科大学消化器・肝臓内科)
抄録 【背景】生活習慣病を治療するうえでは,安静時基礎代謝を反映する遺伝子素因の把握が重要である.近年,肥満遺伝子あるいは倹約遺伝子として,多くの種類の遺伝子多型(SNP)が報告されている.我々は,β3 adrenergic receptor(β3AR),β2 adrenergic receptor(β2AR),uncoupling protein 1(UCP1)と生活習慣病の肝臓表現型である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の関与について検討した.【対象と方法】遺伝子検査と肝生検に同意したNAFLD52例と健常者30例を対象とした.血液学的検査,CTによる内臓脂肪面積,皮下脂肪面積測定,体組成成分分析装置InBODY720(バイオスペース社,ソウル)による身体測定およびSNPタイピング(β3AR:Trp64Arg,β2AR:Arg16Gly,UCP1:A-3826G)を施行した.【結果】NAFLDにおいて,β3ARはT/Tが35例,T/Cが16例,C/Cが1例.β2ARはA/Aが8例,A/Gが34例,G/Gが10例.UCP1はA/Aが16例,A/Gが22例,G/Gが14例であった.wild typeおよびnon-wild typeで群別すると,β3ARは各々67.3%,32.7%,β2ARは15.4%,84.6%,UCP1は30.8%,69.2%であり,コントロールと比較しβ2ARは有意にNAFLDにおいて多型を多く認めたが,β3ARとUCP1は有意差を認めなかった.β3ARのnon-wild typeにおいてはALT,TG,HOMA-IR,VFAが有意に高く.β2ARのnon-wild typeにおいてはBMI,HOMA-IR,体脂肪量で有意に低く,UCP1のnon-wild typeにおいてはBMI,HOMA-IR,VFAが有意に高かった.次にNASHおよびSSで群別し,β3AR,β2AR,UCP1の多型を検討したが,有意な結果は得られなかった.【考察】肥満遺伝子SNPはNAFLDの病態形成に関与しており,食事指導をする上での摂取カロリー設定に有益な情報になることが考えられた.
索引用語